数学の小ネタ#27 病的な関数
高校の数学で習う微分は、大学以降も重要な数学の手法です。ある連続関数の微分は、その点での関数の勾配を表わしています。多くの連続関数は”至る所で微分が可能”ですが、中には『至るところ微分不可能な関数』という”病的な関数”が存在します。
病的な関数の元祖は、ワイエルシュトラス関数(Weierstrass function)です。この関数は、1872年にドイツの数学者カール・ワイエルシュトラスにより提示された実数関数です。この関数は、これまでの”孤立点を除くと連続関数は微分可能である”という認識(常識?)を変えた関数の例として、歴史的にも重要です。
”病的な関数”には、高木曲線(Takagi curve)として知られる高木関数があります。この関数は、数学者・高木貞治が1903年の論文で”連続だが至る所で微分不可能な関数”として紹介されています。この曲線の形状は、洋菓子ブラマンジェに似ていることから、ブラマンジェ曲線(Blancmange curve)という”美味しそうな名前”でも呼ばれています。
これ以外にも、”連続関数なのに微分ができない”関数は存在します。その後これらの関数は、直線を再帰的に分割してできる『フラクタル曲線』につながっていきます。フラクタルというのは、フランスの数学者ブノワ・マンデルブロが導入した幾何学の概念で、図形の部分と全体が自己相似になっているものなどをいいます。
フラクタル図形はCGでは定番ですし、自然界にも”海岸線の形状”や”魚の縞模様”などにもみられます。