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サクラサク

今日は九州大学の後期日程の合格発表日だったようです。昔は大きな掲示板に掲示された受験番号を確認するしかなかったのですが、今なら合格発表をワザワザ見に行かなくても、インターネットを通じて合否の確認ができます。便利な世の中になりました。

私が高校生の頃は、もちろんインターネットどころか携帯電話もありませんでした。私の故郷は大分の田舎ですから、福岡まで合格掲示板を見に行くことはできませんでした。私のように受験した大学から遠く離れた場所に住んでいる人はどうするかというと、多くの人は”合格通知電報”を頼みました。私の場合は、九大に通っている高校の先輩が見に行ってくれることになっていたので、電報をお願いすることはありませんでしたが・・・。

この電報は大学の公的サービスではなく、学生がアルバイトでやっている受験時限定のお仕事です。学生達は、受験時に電報の受付窓口を臨時で設けます。この受付で、受験番号・氏名・連絡先などを登録して申し込んでもらうのです。この合格通知のアルバイトは、早稲田大学が発祥のようですが、瞬く間に全国の大学に広がって、その当時の”定番”になりました。

合格電報の定番の文面は「サクラサク」です。電報はカタカナが基本でしたから、このような文面になっています。最初はシンプルに「コ゛ウカク」だったのかもしれませんが、あまりオシャレではありません。そこで、合格(濁点を含めて5文字)と同じ文字数の『サクラサク』が採用されたのでしょう。季節感もあって、キラリとセンスが光っています。ちなみに不合格の場合は、同じく5文字で『サクラチル』です。

サクラサクは各地の大学に定着していきましたが、定着してしまうと独自色を出したくなるのが人情です。そこで各大学独自の文面が増えて行きました。ここでは、おめでたい合格の文面を紹介します。

東北大学 「アオバモユル」(青葉萌ゆる)
東京大学 「アカモンヒラク」(赤門開く)
静岡大学 「フジサンチョウセイフクス」(富士山頂征服す)
三重大学 「イセエビタイリョウ」(伊勢海老大漁)
高知大学 「クジラガツレタ」(鯨が釣れた)
長崎大学 「マリアホホエム」(マリア微笑む)

九州大学にも独自の合格電報があったようです。合格の場合は「ゴウカクオメデトウ」(合格おめでとう)、不合格の場合は「ゲンカイノナミアラカッタ」(玄海の波荒かった)だそうです。合格の文面はヒネリがありませんが、不合格の文面はご当地感がありますね。

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