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「もう限界です」と、国立大学の厳しい財政状況に関して国立大学協会というところが、以下のような声明を出しています。

1 国立大学の覚悟
天然資源に乏しい我が国にとって、最も重要なのは人材であり、社会と産業を動かす科学技術の進歩です。大学は、高い能力と見識を備え、未来を創造する人材の育成と、高度で先端的な研究の推進に重要な役割を果たしてきました。その中でも国立大学は、創設以来、世界最高水準の教育研究の実施や重要な学問分野の継承・発展、すべての都道府県に設置され全国的な高等教育の機会均等の確保、グローバル人材の育成といった役割を担ってきました。これからも国立大学は、我が国の研究力の源であって、我が国全体の、そして各地域の文化、社会、経済を支える拠点であり、産業、教育、医療、福祉などに十全の責務を負っていく覚悟です。

2 国立大学を取り巻く財務状況の悪化
国家予算が厳しさを増すにつれ、国立大学の活動を支える基盤経費(運営費交付金)は減額されたままです。加えて、社会保険などの経費の上昇、近年の物価高騰、円安などにより基盤経費を圧迫し、実質的に予算が目減りし続けています。また、働き方改革の実現のため、大学教職員、学校教員や医師を確保する必要も出てきました。その中にあっても質の高い教育研究活動を維持・向上していくために、寄付金などの外部資金や自ら収入を増やす努力も進めています。そうして、我が国の課題、また地球規模の課題の解決に、教育と研究を通じて全力で取り組んできました。しかし、もう限界です。

3 輝ける未来への協働
我が国の教育研究の根幹をなす86の国立大学は、輝ける未来に向けて、以下のことに取り組みます。①博士人材などの高度人材の養成をさらに進め、輝ける未来創造を牽引します。②社会人や女性、外国人など多様な人材を受入れ、多様性の時代を牽引します。③全国の大学進学率の向上に努め、国全体の知のレベルを上げて、地域社会とグローバル社会を牽引します。

4 国民の皆様へのお願い
このように、国立大学はこれまで以上に大きな役割を果たして、我が国全体のさらなる発展を支え、豊かな社会を実現していこうとしています。国立大学の担うこのミッションは、国や地域、産業界や自治体を含む社会全体、そして国民の皆様一人ひとりに、積極的に参加いただき、ともに協力していくことにより、実現していくことができます。国立大学の危機的な財務状況を改善し、我が国の輝ける未来を創り出すために、皆様の理解と共感、そして力強い協働をお願いする次第です。

国立大学協会声明文_20240607

声明の内容については一先ず置いといて、”中の人”でもある私が気になるのは、国立大学関係者でない人が、この声明をどのように感じるかという事です。多くの人にとっては関心がないかもしれませんし、ひょっとすると「それは大きな問題だ!」と危機意識を持った人もいるかもしれません。

私のような末端の教員には難しいことはわかりませんが、大学予算の多くを占めている運営費交付金が年々減少していることは確かです。そのため、私が大学に採用されたころに比べれば、通常の研究費は大きく減っています。この運営費交付金は、国家予算(税金)から支出されています。

国立大学が不要だと考える人は少ないと思いますが、現在の数が必要かどうかは意見が分かれるかもしれません。こんな事を書くと、大学関係者からはお叱りを受けるかもしれません。しかし、一般企業だと業績が悪ければ倒産しますし、別の企業から買収されたりもします。

今まさに、国立大学の存在意義が問われているのかもしれません。私個人は国家公務員だった時代から長くお世話になっているので、国立大学には頑張って欲しいと思っています。しかし、如何せん微力(無力?)なもので・・・。

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