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数学の小ネタ#24 マイクロソフトの三角形

入社試験の一風変わった数学問題として話題になったのが、『マイクロソフトの三角形』と呼ばれる面積を求める問題です。一見すると、三角形の面積の公式を知っていれば小学生でも解けそうです。答えは、10×6÷2=30 となりそうですが、冷静に考えるとそうはなりません。というのも、2次元平面ではこのような三角形が存在しないからです。答えは「解なし/計算できない」が正解なのだそうです。

この三角形が有り得ない理由は、円周角と半径から簡単に説明できます。角Bが直角ですから、角BはACを直径とする円の円周上に存在します。その場合、円の半径は10cmの半分ですから5㎝です。しかしBDの長さは半径5㎝を超える6㎝となっています。点Bが円周上にある限り、BDの長さは半径を超えることはありません。

「なるほど、これは冷静な状況判断ができるかどうかを調べる試験なのね」で終わったしまうのは、数学的な探求心の無い人です。数学愛の強い人は、「2次元平面で不可能なら、球面の様な3次元平面で考えれば良い」と一歩先を考えます。つまりユークリッド幾何学ではなく、リーマン幾何学で考えるのです。実際にこのような方法で面積を求めている人たちがいます。このように考えて計算すると、約38くらいになるそうです。

「ユークリッド平面で考えても解けるよ」という別のアプローチで解いた人もいます。その場合は、10進数ではなく、12進数以上で考えるようです。例えば12進数で考えれば、10は十進数の12となりますから、そのような三角形は成立します。この場合の面積は十進数で36となります。同じ問題でも、前提を変えれば解けたり、解けなかったりします。

入社試験でこのような問題を出されたら、”素直(愚直?)な私”は30と答えてしまうでしょう。おそらく、マイクロソフト社の入社試験には合格できないでしょう。そんなわけで、私は大学で働いています。

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