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スイッチバック駅の思い出

スイッチバック (switchback) とは、険しい斜面を登坂・降坂するため、ある方向から概ね反対方向へと鋭角的に進行方向を転換するジグザグに敷かれた道路又は鉄道線路のことを指します。鉄道ファンならお馴染みの専門用語ですが、普段は滅多にお目にかかれません。JR九州には、スイッチバックを利用する駅が三駅もあります。

その一つが、熊本県阿蘇郡南阿蘇村にある豊肥ほうひ本線・立野たての駅です。この駅は、阿蘇火山の爆発で誕生したカルデラの外輪山の一角にあたり、立野駅周辺は、外輪山が白川の浸食で唯一途切れるた場所になります。ここでは、立野駅とお隣の赤水駅の標高差188mを克服するため、珍しいスイッチバックが取り入れられています。

立野駅は一回だけ利用したことがあって、その時にスイッチバックを体験しました。この駅を利用した理由は、南阿蘇での温泉探査のバイトが終わって、九重の地熱探査のバイトに向かうためでした。南阿蘇の探査は車利用だったのですが、南阿蘇の温泉探査のメンバーは福岡に帰還し、私一人が途中の立野駅に残されました。この時は現場から現場への移動だったので、私以外ひとりもいない構内で、心細かったのを覚えています。

もう一つのスイッチバック駅が、宮崎県えびの市にあるJR肥薩線の真幸まさき駅です。この駅は肥薩線唯一の宮崎県内の駅で、隣の矢岳駅は熊本県、もう一方の隣は鹿児島の吉松駅で、3駅で3県という珍しい場所になっています。ここのスイッチバックは、加久藤かくとうカルデラ外輪山の高度差を克服するためのものです。このカルデラは、石黒耀さんの自然災害小説『死都日本』で、破局的噴火を起こすカルデラとして描かれています。

今月の下旬、このスイッチバック駅がある”えびの市”でMT法の調査を実施します。どんなデータが取れるか楽しみです。

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