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”オブラートに包む”という表現

婉曲した言い回しのことを”オブラートに包んだ”と表現しますが、最近ではあまり使わないようです。というのも、このオブラート自体が一般的ではなくなったのが原因です。

オランダ語を起源とするオブラート(oblaat)は、本来は丸い小型のウエハースに似た聖餅せいへいのことですが、日本では一般的にデンプンから作られる水に溶けやすい、タイトル画のような”可食フィルム”のことを指します。このオブラートは、日本で明治期に独自に発明されたもので、英語ではedible paper(食べられる紙)と言います。

このオブラートは、苦味のある粉薬など、そのままでは飲みづらい薬を内服する際に使われていました。使い方は簡単で、オブラートを広げて薬を包み込んだ後、端に少量の水をつけて口を閉じます。このオブラートは口腔内に張り付きやすいため、コップ1杯の水またはぬるま湯で服用するのが一般的です。最近では、イチゴ味やその他のフレーバーつき製品もあるそうです。

私が子供の頃は、家庭に常備されていたように思いますが、今ではほとんど見かけません。私もたぶん40年以上は実物を見ていません。我家の子供達もおそらく一度も見たことが無いでしょう。

オブラートは食品の個包装にも使われることがあって、九州ローカルなお菓子である『ボンタンアメ』や『兵六餅』などは本当に”オブラートに包まれて”います。

ボンタンアメのパッケージ(左)とオブラートで包まれた中身(右)

実は私自身は、”オブラートに包んだ”言い回しが苦手で、ついついストレートな物言いをしてしまいます。そのせいでよく失敗しているのですが、こればかりは中々治りません。

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