雷は大敵です。
梅雨前線が停滞しているため、なかなか梅雨が明けません。今日も不安定な天気で、予定していた野外実験を延期しました。野外での実験では、雨も影響しますが、最も怖いのは雷です。
MT法(地磁気地電流法)では、地球磁場の微小な変動や、地面に流れる地電流による小さな電位差を測定する必要があります。そのため、測定回路の中に微小な電圧を増幅するアンプという回路が組み込まれています。このアンプによって、数μm~数mVの微小な電位差が測定できます。
一般的な天候では、これで全く問題ないのですが、雷が発生すると事情が一変します。遠くの雷でも、地球磁場を大きく変化させます。また、この雷放電で誘発された大きな地電流が、大きな電場をもたらします。極端な場合には、落雷によって地面に大きな電流が流れてしまいます。もともとは小さな電磁場信号を測定するための装置ですから、大き過ぎる電磁場は測定レンジをオーバーして測れません。また極端なサージ電流は、測定装置を故障させる原因にもなります。
雷放電による地電流はかなり大きく、アナログのペンレコーダで電気探査をしていた時に、プルプル震えるペンの動きで、まだ音がしない遠くの雷を察知できるほどでした。
今から40年近く前、知り合いの先生に特別に作ってもらったELF-MT装置の試運転の時、雨天で測定を強行したら、見事に壊れて、それ以降は一度もまともに動きませんでした。正確な金額は覚えていませんが50万円から100万円した機械が、一瞬でお釈迦になった瞬間でした。
こんな苦い経験があったので、今日の測定は中止にしました。明日は朝が雨の予報ですが、その後は晴れそうなので、久しぶりに屋外での実験が出来そうです。
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