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電池の歴史 新しい電池のリーダーは?

野外で実験を実施する場合、測定機器の電源はバッテリー(電池)で賄います。その昔、大きな電力を必要とする電気探査・比抵抗法では、45Vの大きな箱型の乾電池を5~10個ほど使っていました。この箱型の乾電池は、1.5Vの乾電池を直列に30個つないだ構造になっていました。最近はほとんど見ませんが、電圧の高い特殊な乾電池なので取り扱いに注意が必要でした。

電気探査や電磁探査を実施する場合、電源の確保が問題になります。今では電池も性能が上がり、様々な種類の電池が使われていますが、その始まりはボルタ電池(またはボルタの電堆)でした。ボルタ電池は、1800年ごろにイタリアのボルタによって発明された、亜鉛Zn板と銅Cu板を希硫酸H2SO4中に浸した電池の原型です。それまでは、ライデン瓶に静電気を貯めることしか出来ませんでしたが、ボルタ電池の発明で比較的自由に電流を取り出すことができるようになりました。

ただし、ボルタ電池は正極で水素H2を発生します。この水素がが銅板のまわりに溜まってきて、性能低下を招きます。これを改良したのが、ダニエル電池です。亜鉛板を硫酸亜鉛(ZnSO4)の薄い水溶液に浸したものと、銅板を硫酸銅(CuSO4)の水溶液に浸したものを組み合わせた電池です。ダニエル電池は、ボルタ電池の欠点を改善した世界初の実用的な電池です。

この辺りのことは、高校の化学で習います。これらの電池は正極や負極の金属が消耗すると電気を取り出すことが出来なくなる”一次電池”です。一次電池は充電できませんが、その後、充電が可能な”二次電池”が発明されました。鉛蓄電池なまりちくでんちは、電極に鉛を用いた電池で、1859年にガストン・プランテが発明しました。現在の鉛蓄電池は1881年に、カミーユ・アルフォンス・フォーレが改良した鉛蓄電池の技術が元になっています。

鉛蓄電池は少しづつ改良されながら、長い間、自動車やバイクのバッテリーとして使われてきました。しかしここに来て、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーなどの、新しい陽極材や陰極材を使った電池が開発されています。この電池は安全性が高く、充電可能回数も多いことから、鉛蓄電池を置き換える形で普及し始めています。

また次世代の二次電池として、半固体電池/全固体電池が開発されています。これまでの電池は、陽極と陰極の間が液体の電解質でしたが、その電解質を固体と液体の混合物にしたものが半固体電池、全てを固体にしたものを全固体電池と呼んでいます。

最近、電気自動車(EV) が話題になることが多いですが、EVの性能は搭載する電池に依存します。いまは電池がホットな技術で、”新しい電池のリーダーズ”を決める時代に突入しています。

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