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アクティブセンサとパッシブセンサ

物理探査では、目に見えない物性値の変化を、目に代わるセンサを使って測定します。多くのセンサは、様々な物性値を最終的には電気信号に変えて出力します。これは、電気信号に変えることで微小な信号を増幅したりできるからです。

センサは大きく分けると、受動的なパッシブセンサ(passive sensor)と能動的なアクティブセンサ(active sensor)に分類できます。パッシブセンサは、人工的な信号源を必要としないセンサで、多くのセンサがこのタイプになります。現在、MT法プロジェクトで開発している計測システムに使われている磁気センサは、このパッシブセンサに分類されます。

一方、アクティブセンサは人工的な振動源や電磁波源からの信号の透過や反射を利用するセンサです。超音波センサは、トランスデューサから超音波を発振し、対象物で反射してきた超音波の往復時間から、対象物までの距離を測ります。マイクロ波や可視光を使ったレーダーやライダーも、超音波センサと原理は同じで、アクティブセンサの仲間です。原理は異なりますが、最近進歩が著しい光ファイバを使った温度センサや圧力センサなども、アクティブセンサになります。

アクティブセンサの利点は、送信する信号の強さをセンサ側で調整できることです。送信する信号強度が強ければ、受信側のセンサも高精度で測定できます。ただし、送信に使うエネルギーは大きくなるので、送信信号をむやみに大きくすることは出来ません。

パッシブセンサの利点は、送信源が必要ないことです。パッシブセンサでは送信源を使わないため、センサは比較的シンプルな構造になります。ただし、測定させる信号にはノイズが含まれているため、微小な信号を測定する場合には注意が必要です。測定値のSN比を向上するためには、測定後のデータ処理が欠かせません。

アクティブセンサを使うかパッシブセンサを使うかは、物理探査の手法毎に変わってきます。弾性波探査や電気探査は基本的には信号源が必要ですが、重力探査や磁気探査には信号源が必要ありません。手前味噌ですが、もっと詳しいことが知りたい人は、拙著『はじめの一歩 物理探査学入門』↓↓をご覧ください。


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