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金属鉱物資源の探査

 日本はかつて世界有数の銀や銅の産出国でしたが,資源の枯渇や人件費の上昇等のために採算が取れなくなってしまいました。そのため現在では,必要な金属資源のほぼ全量を海外に依存しています。日本は世界でも有数の金属消費大国です。特にレアメタル類は今後も消費量が伸びることが予想され,ハイテク産業への安定供給を確保するには,技術や資金提供による産出国との関係強化や地道な探鉱活動が必要です。 

 金属鉱床の探査では,鉱床の種類に応じた探査法の選択が重要です。例えば鉄鉱床の探査では磁気探査が有効ですし,硫化物鉱床の場合は強制分極法(IP法)が効果的です。近年では時間領域電磁法(TEM法)や,周波数領域の電磁探査法である地磁気地電流法(MT法)などもよく使われています。 磁気探査は鉱床の誘導磁化による磁気異常に着目した探査法で,磁鉄鉱のような強磁性体では大きな磁気異常が生じるので特に有効です。 

 硫化物鉱床の探査ではIP法がよく使われます。ある種の鉱物の中には,電圧をかけるとコンデンサーのように電荷を蓄える性質を持つものがあります。このような性質を分極といい,分極の程度を表す指標を分極率といいます。IP法では,比抵抗と同時にこの分極率を測定します。黄銅鉱や黄鉄鉱のような硫化鉱物は分極率が高いため,IP法が特に効果的です。 

 電磁探査の一つであるTEM法も,金属鉱物資源探査に広く適用されています。しかし,近年,探査対象が深部化する傾向があり,誘導コイルを磁力計として用いる従来の測定装置では,探査深度が十分でないことが問題でした。この問題を解決するため,JOGMECではTEM法の磁力計に高温SQUIDの技術を導入し,探査深度と精度の向上させる技術開発を行なっています。 MT法は,自然の電磁場変動を利用して地下数10kmまでの比抵抗を把握することができます。その他にも,シュランベルジャー法流電電位法などの比抵抗法も利用されています。


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