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ミリしら物理探査

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物理探査を1ミリも知らない人に、物理探査に関する専門用語を解説します。
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#電気探査

ミリしら物理探査#28 自発分極と強制分極

 まずは分極の説明をします。電気などの分極とは、正の電荷と負の電荷が、何らかの原因で物質中で偏ることを指します。通常の状態では、物質中では正の電荷と負の電荷が均等に混ざっているので、”電気的に中性”になっています。ただし、この電荷の偏り、つまり分極が生じると電気的に中性ではなくなります。  自発分極(spontaneous polarization)というのは、何も手を加えなくても勝手に分極をしている電気的な状態を指します。身近なもので説明すると、自発分極の代表選手が電池で

ミリしら物理探査#27 琥珀と静電気

 物理探査学の授業で、電気探査の導入として、いつも静電気の話をしています。静電気は、物質の表面に貯まった過剰な電荷によって引き起こされます。夏場はあまり感じませんが、冬場だと毛糸のセーターによるバチバチという静電気や、エレベーターのスイッチを触れた時のちょっとした感電など、割と身近な電気現象です。  この静電気はかなり昔から知られていて、琥珀が小さなホコリやゴミをくっ付ける不思議な現象が観察されていました。琥珀は貴族やお金持ちの衣服のボタンとして使われていたため、このような

ミリしら物理探査#1 『でんたん』

 『でんたん』は、電気探査の略で電探と書きます。電気探査は、地中に電流を流す能動的な方法と、ある種の鉱体が発する自然の電気現象を観測する受動的な方法に大別できます。ただし、『でんたん』という場合は、人工的に電流を流す比抵抗法を指す場合が一般的です。狭義では、電気探査は比抵抗を指します。  比抵抗法では、地面にプラスとマイナスの2本の電流電極を指して、電流を流します。地面に電流が流せるの?、と思うかもしれませんが、ある程度高い電圧をかけると電流を流すことができます。電流を流す