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物理探査のデータ解析

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物理探査データの解析法に関する記事をまとめました。
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#データ解析

インバージョンについて

物理探査に限らず、観測データの解析には二種類の方法があります。一つは順方向のデータ解析です。この解析は、順解析またはシミュレーション(simulation)などと呼ばれます。物理探査の例で説明します。ある地下構造を仮定すれば、その地下構造を離散化して数学モデルに落とし込むことで、そのときに得られるであろう観測値を予測することができます。これが数値シミュレーションです。シミュレーションは、モデル空間からデータ空間への変換と捉えることもできます。 もう一つの解析は、逆解析または

地震波干渉法

 地震波干渉法は、スタンフォード大学のクレアボー教授のアイデアが元になった新しい弾性波探査法です。  この理論を簡単に言ってしまうと、”地中にある様々な振動を地表で観測し、その記録の相互相関を取ることで地表に人工震源を設置した場合の反射波記録を合成できる”というものです。これは地中に満ちている雑音と考えられている波動(都市部であれば地下鉄などの交通機関や、人間活動が作り出す振動、火山地域であれば火山性の微動、波浪による振動、また地震の場合は、本震や余震などなど)を観測し、そ