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物理探査のデータ解析

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物理探査データの解析法に関する記事をまとめました。
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2023年4月の記事一覧

電磁探査の有限要素法を理解したい

これまで有限差分法に始まり、有限要素法、境界要素法、と次々とプログラムを作ってきました。最初に作ったプログラムは、差分法による電気探査の2次元シミュレーションプログラムでした。そのころは、大型計算機も非力で、大きなメモリーが取れなかったため、反復法を使ったプログラムを書きました。 ところで”有限差分法”という名称は、今では一般的ですが、昔は”有限”が付いていないシンプルな”差分法”と呼ばれていました。現在の有限差分法は、有限要素法に近づけた日本語名称のバージョンアップです。

プログラミングとシミュレーション

複雑な物理現象や自然現象を解明する場合、最初にすることは”現象の規則性を見つけること”です。不規則な現象の場合、その現象を簡単には解明できませんが、あるルールに基づいた規則性があれば、それを数式にすることができます。科学では”モデル”という言葉を使いますが、最初の現象が”物理モデル”で、それを数式化したものが”数学モデル”です。ここまでの作業は手作業です。 現在、多くの物理現象が数学モデル化されています。数学モデルで出てくる数式が微分方程式や偏微分方程式です。一方向にしか物

Juliaで物理探査#1 弾性波探査・屈折法

弾性波探査の屈折法は、地中を伝わる弾性波の中で、地層の境界面で屈折し、そのあと地層の境界を伝わり,再び屈折して地表に戻ってくる波を利用して地質構造を推定する方法です。地中を伝播する弾性波にはP波やS波がありますが、屈折法では”P波の初動”を利用した測定方法が一般的です。主に土木・建設の分野で利用されています。屈折法で求められる弾性波速度は、地盤強度と関係があるので、岩盤分類や地山区分の情報として利用されていて、構造物の設計・施工時の有益な情報となっています。このように屈折法は