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ぶったん箸休め

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物理探査のことを略して、物探(ぶったん)と呼びます。ここでは、物探とチョッとだけ関係ある話題を集めました。智の箸休めです。楽しんで下さい。
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#重力計

高感度にもほどがある#2 重力計

重力探査は、地下の岩石や土壌の不均質性から生じる密度変化を捉えることで地下構造を推定する方法です。おもに石油鉱床や地熱貯留層などを探すときの概査などに使われます。 重力探査では微小な重力の差を測定する必要があるので、高精度な重力計が必要です。ここまで説明なしに”重力を測定する”と書きましたが、厳密には重力加速度を測定します。高校の物理では、重力加速度は一定の9.8m/s^2と教わりますが、実際はそうではありません。地球は自転しているので、物体には引力と遠心力が働きます。この

重力計のキモ ゼロ長のバネ

 バネには様々な種類がありますが、一般的に思い浮かべるのはコイルばねだと思います。コイルばねとは、その名の通りぐるぐると巻かれた見た目のばねです。コイルばねには、圧縮して使う圧縮コイルばねや、引っ張って使う引張コイルばねがありますが、どちらも伸縮の長さに応じた(比例した)力が利用されます。  重力を測定する相対重力計にもバネが使われていますが、ちょっと特殊なバネが使われます。”ゼロ長のバネ”という言葉を聞いたことがありますか。バネには自然長と言って元々のバネの長さがあり、自

未来の重力計

 光格子時計と呼ばれる世界で最も高精度の時計を東大の香取教授らの研究チームが開発しました(図)。この時計はGPSなどに使われる原子時計の数百倍の精度を持ちます。詳しい仕組みはわかりませんが、レーザ光の力で約1000個のストロンチウム原子を宙に浮かせ、振り子の代わりに利用します。  原子の持っている振動数は一定なので、この原子の振り子を使うと正確な時計が作れるそうです。同じ光格子時計を2台作って、時間のずれを比べた結果、ずれは1ヶ月あたりおよそ約1兆分の5秒で、クオーツ腕時計