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ぶったん箸休め

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物理探査のことを略して、物探(ぶったん)と呼びます。ここでは、物探とチョッとだけ関係ある話題を集めました。智の箸休めです。楽しんで下さい。
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#電磁探査

研究室の伝統の継承

学術的な研究は個人が主体(中心)ですが、大学によっては”研究室の伝統”みたいなものはあります。私が所属している九州大学の物理探査学研究室では、その昔から電気探査や電磁探査を得意としています。 もともと、九大の物理探査学研究室は”日本初の物理探査学講座”の流れを汲んでいる経緯があり、その時の初代教授・小田二三男先生が電気探査の研究を開始したのが九大の物理探査学のスタートでした。その後の野口教授、小野寺教授は引き続き電気探査がメインでしたが、乗富教授、牛島教授の時代になると電磁

私が経験した物理探査

 物理探査学研究室では,日本の各地や海外において様々な現地調査や共同研究を行ない、地下水・温泉・地熱資源の発見や古墳内の可視化などの多くの成果をあげています。今回は私が実際に行って調査した場所を挙げています。記事というより、探査したフィールドの備忘録です。単なる場所の羅列ですが、どこでどんな調査をしたのかが分かると思います。 地熱探査  大分県九重町・八丁原(比抵抗法,流電電位法)  大分県九重町・滝上(流体流動電位法)  大分県久住町(流電電位法)  大分県湯布院町(流体

MT法の先駆者たち

 地磁気地電流法(magnetotelluric method; MT法)は、1950年にロシアの地球物理学者Andrey Nikolayevich Tikhonov、1953年にフランスの地球物理学者Louis Cagniardによって、それぞれ独自に研究されました。 当初は、探査理論や測定の難しさから実用化に時間がかかりましたが、測定装置、データ処理、数値モデリングの進歩などにより、MT法は地球深部の研究における最も重要なツールの1つとなっています。  Tikhonov

新プロジェクト始動

 2021年10月1日です。今日から、新プロジェクトを開始します。新プロジェクトと言っても、noteブログの記事のことではありません。  九州大学の私の研究室では、独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構の委託を受けて、物理探査に関する新しいプロジェクトを始めることになりました。このプロジェクトは、再生可能エネルギーである地熱エネルギーの探査の効率化を目的としたプロジェクトです。  日本は世界第3位の地熱エネルギーのポテンシャルを持つ、地熱の有望国ですが、実際の地熱発

不発弾、埋めてます!!

 九州大学の伊都キャンパス内の野外実験フィールドには、不発弾を埋めています。でも安心して下さい。本物ではありません。本物そっくりに作った、模擬不発弾です。  図中の青く塗られたモノが、50キロ爆弾の模擬不発弾です。もちろん火薬や信管は入っていませんが、爆弾の材質、重さ、形状はそっくりに作っています。50キロ爆弾の他にも、2.5インチ砲弾を埋めています。これらは、磁気探査による不発弾探査の効率化の実験をするために埋設しました。現状では雑草が繁っていますので、まずは草刈りが必要