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ぶったん箸休め

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物理探査のことを略して、物探(ぶったん)と呼びます。ここでは、物探とチョッとだけ関係ある話題を集めました。智の箸休めです。楽しんで下さい。
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#高感度

高感度にもほどがある#2 重力計

重力探査は、地下の岩石や土壌の不均質性から生じる密度変化を捉えることで地下構造を推定する方法です。おもに石油鉱床や地熱貯留層などを探すときの概査などに使われます。 重力探査では微小な重力の差を測定する必要があるので、高精度な重力計が必要です。ここまで説明なしに”重力を測定する”と書きましたが、厳密には重力加速度を測定します。高校の物理では、重力加速度は一定の9.8m/s^2と教わりますが、実際はそうではありません。地球は自転しているので、物体には引力と遠心力が働きます。この

高感度にもほどがある#1 超電導磁力計

現在進めているMT法探査の機器開発の重要部品に、磁気センサがあります。我々が使っているのはMI素子と呼ばれるセンサで、低周波領域の感度が一定というMT法には持って来いの性質を持っています。このセンサでは、地球磁場の数万分の一の微小な磁場変化を測定することができます。MIセンサではnT(ナノテスラ)レベルの磁場変動をとらえる必要があります。 磁場測定の感度だけで言えば、MIセンサよりも凄いセンサがあります。それが超電導磁力計です。超電導磁力計はnTの1000分の1であるpT(

MIセンサを紹介します

現在、精力的に取り組んでいるMT法の新しい探査装置のキモになるのは、小型の磁場センサです。従来のMT探査装置では、およそ10kgもある重いインダクションコイルを3本も使う必要があります。このコイルを担いで山道を行くのですから、MT法のフィールド調査は体力勝負です。 しかし、我々の新しい探査装置では磁場測定に、重さ数10gの超小型磁場センサを使います。このセンサが、MIセンサ↑↑と呼ばれる新しい磁場センサです。MIセンサは、MI効果(磁気インピーダンス効果)を利用した、日本独