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ぶったん箸休め

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物理探査のことを略して、物探(ぶったん)と呼びます。ここでは、物探とチョッとだけ関係ある話題を集めました。智の箸休めです。楽しんで下さい。
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2023年5月の記事一覧

標準偏差と標準誤差

現在、MT法の時系列データ処理プログラムを開発中で、時系列データから見掛比抵抗や位相を計算できるプログラムがほぼ出来ました。ただし、見掛比抵抗や位相の”確からしさ”を評価するための指標が無かったので、プログラムに含めることにしました。最も基本的な統計量は、分散やその平方根である標準偏差です。 標準偏差とは、英語ではstandard deviationと表される統計学の指標の一つで、平均からのズレを表す数値のことです。この標準偏差を求めることで、平均に対する数値の散らばり具合

『ケルビン接続』と比抵抗法

"専門用語"は、統一されている印象を持つかもしれませんが、実はバラバラです。研究分野が異なれば、同じ概念を意味する専門用語でも異なります。例えば、物理探査の世界では弾性波や電磁波などの波が伝わることを伝播と言いますが、電気関係の学会では電磁波などでは伝搬を使います。これには少し実用的な意味があって、”デンパ”の音を持つ同音異義語の”電波”と”伝播”が紛らわしいからです。「電波が伝播する」と言う表現は可能ですが、駄洒落みたいで耳で聞くだけでは意味が通じません。同じように、電気系

能登半島の地震について考えた。 「地下の流体が関与」~DDモデル?

今回は少し長文です。気合を入れて読んで下さい。 自分が住んでいる地域から遠く離れた場所で起きた地震には、発生直後には関心があっても、その後の関心は薄れていきます。これは、人間が”忘れる生き物”であるため、仕方のない事ではあります。しかし、日本列島に住んでいる限り、どこに住んでいようと地震被害から逃れることは出来ません。残念ながら・・・。 ここ2年余りで300回以上の群発地震が起きている石川県珠洲市で、2023年5月5日、震度6強(上から二番目のカテゴリー)の地震が発生しま