主観と客観を超えた眼差し、その距離感
いつから写真を? と聞かれたとき、決まってある一枚の写真を思い出します。それは生まれ育った家の勝手口に息子が静かに佇んでいるというものです。その姿を撮ろうとしたとき、直感的に「あれは『私』だ」と感じたのです。自分もまた幼かった頃、まさしくあの場所に座っていたことを思い出したからです。子供をまるで自分の生まれ変わりのように感じたそのとき、記憶の奥底に眠っていた光景が一気に目を覚ましました。そして、その光景をファインダー越しに見つけたとき、言葉にし難い奇妙な感覚に襲われたのです。