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パラグライダーの紹介

前回のパラグライダーの記事を書き終わったときに、内容があまりに唐突だったことに気づきました。
そこで急遽、パラグライダーの紹介記事を追加して同時公開することにしました。

数年前まで個人のWebサイトで公開していた記事を、バックアップから再編集して、その魅力をお伝えします。

今回の記事で使用した写真や動画は、前回の記事とは無関係です。

パラグライダーとは

パラグライダーは、パラシュートのような翼を操って、大空を飛び回るスカイスポーツです。

大自然の中で、風切り音だけを聞きながら鳥のように飛んでいると、大きな感動を覚えます。
時には、鳥と一緒に飛ぶこともあり、文字通り「鳥になった気分」を味わえます。

パラグライダーにはエンジン付きのものと、エンジンをつけずに山から飛ぶものがありますが、私がやっていたのはエンジンがない「山飛び」です。

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テイクオフとランディング

パラグライダーは、山の上にある広場から飛び立ちます。地面にパラグライダーを広げ、頭上に立ち上げて離陸します。

ちなみに、飛行機から飛び降りるのはスカイダイビングです。
パラグライダー乗りの多くは自由落下を嫌う傾向があり、私もあんな怖そうなことは絶対にできません。

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ランディングは、河川敷など、エリアで指定された広い場所に一発勝負で降ります。
飛行機のように着陸復行ができないため、ランディング場が狭い場合にはかなりの緊張を強いられます(どれほどの緊張かは、この記事の最後の動画で味わってください)。

パラグライダーは、風上に向かって離着陸します。
特に、山の風下側は乱気流で危険なため、風が弱くても向きによっては飛べないことがあります。
風が変わるまで待つことも日常茶飯事です。

飛んで降りるだけ?

エンジンがないパラグライダーは何もないところで浮き上がりませんが、飛んで降りるだけではありません。
上昇気流を使うと、自然の力だけで、より長時間、より高くまで飛ぶ「ソアリング」を楽しめます。

地表が温まってできた上昇気流(サーマル)に乗れば、雲の高さまで上がることができます。
煙突から立ち上る煙の周りを旋回し続けて、空高く登るイメージです。もちろんサーマルは目に見えないため、感覚や想像力をフル活用して気流と戦います。

優雅かつ自由に飛んでいるように見えますが、実際には上昇気流を外さないように格闘しています。
そして、気流との勝負に負けると、楽しそうに飛んでいる仲間を地上から見上げ続けるという屈辱が待っています。

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上の写真は地面から約1500メートル付近まで上がったときのものです。街の喧騒が遠くなり、風切り音と計器の音だけが聞こえる神秘的な世界でした。
これぐらい飛べると、1週間ほど幸せな気分が続きます。

パラグライダーの機材

パラグライダーでは様々な機材を使用します。
友人の話では、中型バイクの趣味と同程度の初期投資だそうです(もちろん、バイクみたいに日常生活には使えませんが……)。

キャノピー
飛ぶために必須の機材が「キャノピー」です。写真のように結構大きく、12メートル前後の長さがあります。

翼の後ろには「ブレークコード」がつながっており、左右の手で引いて操作します。曲がりたい方向に引くと、旋回することができます。

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キャノピーは上面と下面の2重構造の生地でできています。前縁部の隙間から空気を取り込むと、断面は飛行機の翼と同じ形にふくらみます。これにより、「翼」として効率よく揚力を生み出すことができます。

キャノピーで最も目立つのはデザインの違いですが、それ以上に性能や安全性が大きく異なります。
特に、上級者向けの機体ほど翼が細長く、より遠くまで飛べますが、潰れからの回復に時間がかかります。

こちらは左の前縁部を空中で意図的に潰したところです(左側の前縁部が折れ曲がって下を向いています)。超初心者用の機体なのでこの程度しか潰れませんが、もっと細長い上級機だと、翼が半分なくなります。

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ハーネス
ハーネスは、キャノピーに吊り下がるための、金具のついた椅子です。
パラグライダーを始める前は、宙に吊り下げられて怖くないのかと思っていましたが、実際は座って包み込まれる感覚で飛ぶため、想像より快適です。

私はワンボックスカーのルーフキャリアの上で立ち上がれないほどの高所恐怖症なのですが、それでも飛べたのはハーネスの安心感の効果が大きいと思っています。

ハーネスには、万一の際のショックを和らげるためにスポンジ状のムースなどの安全装備が備わっています。
背中の部分は物入れになっていて、小物類を詰めて飛ぶことができます。

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レスキューパラシュート
ハーネスの側面についているハンドルを引くと(上の写真の赤色部分)、非常用のパラシュートが出てきます。

乱気流によって回復できないほど激しく潰れたり、水平飛行に戻せないほど深い旋回に入ったような場合に使います。……が、そんな状況は非常にまれで、使っているのを見たことがありません。

いったんレスキューパラシュートが開くと、操縦の自由は奪われます。風に流されながら落ちていき、最終的には木にぶら下がることになります。

バリオメーター
気圧の変化を使って、現在の高度と、上昇中か下降中かを測定できます。地面から持ち上げたぐらいのわずかな高度差にも反応します。

上昇と下降の状態は音で伝えてきます。
上昇中は、ピッ、ピッ、ピッという短く高い音で、下降中はブーという低い断続音で知らせてくれます。

練習

パラグライダーは、通常、スクールかクラブに所属して楽しみます。

私は、初め、インストラクターと一緒に2人乗りのパラグライダーで飛ぶところから始めました。4回飛んで高さに慣れると、次は無線誘導によるソロフライトに挑戦できました。

その後、上昇気流を使った長時間フライトの方法や、わざと翼を不安定にした状態からの回復方法など、様々な技術を学びました。

地上練習
飛べない時には、地上でも練習できます。
テイクオフで必要となるキャノピーの頭上への立ち上げ操作や、キャノピーの動きを全身で感じて頭上にキープする操作を練習します。

体力を使うので嫌う人も多いのですが、これがまた楽しいです。
下の写真は地上練習ですが、さらに、翼が起こした後方乱気流で相手の翼を潰し合う遊びもしているところです(上空でやってはダメ)。

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座学
パラグライダーの操作以外にも、航空力学、気象学、各種法規的なルールの学習など、座学も必要です。
今でも天気図を見ると、風を予測する癖がついています。

興味を持った方は…
興味を持った方は、各地のパラグライダースクールを調べてみると良いと思います。

1万円前後で2人乗りパラグライダーによる山からのタンデムフライトや、傾斜地で1メートルほど浮き上がるフライト体験を楽しめます。

フライト動画

非常に古い映像ですが、飛んでいた頃、ヘルメットにつけた目線カメラで撮影した動画がいくつかあります。

1つ目は海沿いのきれいなエリアからです。
途中、サーマルが発生する地点があり、慎重に、慎重に旋回して高度を稼いでいます。
長めの編集ですが、動画後半までスキップして同時進入の緊張感や着地したときの安堵感も体感してみてください。

2つ目は別のエリアです。
最後は、オーバーヘッドアプローチの標準手順で、エリア指定のランディングに降りているのですが、この狭さと橋のプレッシャー、今見ても震え上がります。

他のフライト動画もありますが、私はもう引退していますので、チャンネル登録しても新しい動画は出ません。
現役の方、代わりに素敵な動画をお願いします。