第十三話 卒業式

まだ雪深い3月になると、いよいよ新しいステージへの準備が始まる。

6年間という年月は長いようであっという間だった。毎日がワクワクの連続で、とても楽しかったしいろんなことを教わった。一番残念なのは、お昼の楽しみの給食がもう食べられなくなることだった。僕のところでは、小学校までしか給食がないので次の中学校からはお弁当になる。

僕たち6年生は、学校への感謝を込めてトイレ掃除をすることに決めた。毎日使っているトイレを真っ白にピカピカになるまで磨いた。学校中のトイレを綺麗にすると、とっても気持ちが良かった。

そして記念に保護者の方々と一緒に、卒業記念登山に秋田県との県境に位置する丁岳に登った。僕の町では一番高い山で、小学校からでも望遠鏡で見えるのでその山に決まった。

僕は山では遊んでいたけれど、登山は初めてなので頂上まで登るのは大変だった。それでもやっと頂上に着くと、僕の住んでいる町が一望出来てとても素敵な眺めだった。なんだかおもちゃのようにも見えるし、手を伸ばすと触れそうな不思議な感覚にとても感動した。

中学校には距離があるので、さすがに歩きは無理なので自転車を買ってもらった。部活もあるから荷物も増えるので、前にかごがあるタイプだった。

そして当時は、中学校の規則で男子は丸刈りだったので初めて近所の床屋さんに行って頭をまん丸に刈ってもらった。初頭を叩くと良いことがあると言って、みんなに叩かれるのが恒例だった。

卒業生で男子は僕を入れて5人だった。5人とも頭をまん丸にして、ピカピカでブカブカの学生服を着て卒業式に臨んだ。

1人1人名前を呼ばれ、ステージで校長先生に卒業証書を頂く。それと同時に辞書や筆記用具をたくさん頂いた。

歌い慣れた校歌を歌っていると、今までの思い出がよみがえり涙をこらえて歌うのに必死だった。在校生や先生方に盛大に祝われて教室に戻る。

最後のホームルームでは、みんなに寄せ書きを書き合いっこした。

卒業生16人。とても明るい表情だった。

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