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向かい風

 自転車のタイヤに空気を入れた。
地面の凸凹からダイレクトに伝わる振動が心地良い。

 ギアにオイルを差した。
カリカリと音も軽やかに変わった気がして意味もなく変速機をいじる。

 今日は向かい風。そんな時は軽いギアでゆっくり進む。風に抗わないよう、時間がかかっても焦らない。大丈夫、前には進んでいる。ゆっくりだから少しの余所見は許してもらおう。

 久しぶりに晴れた空、秋の入り口の様な雲。道端には小さな花。時には止まってしゃがみ込んでも構わない。猛スピードで走っていたら気付かなかったことがある。

 流行病への不安。逆風に真っ向勝負を挑み過ぎていたかもしれないな。
風もいつかはおさまり、やがて追い風にもなるだろう。その時に先頭に立って入れれば言うことはないけれど、無理をしてスタートラインにも立てないなら意味が無い。

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