宇高家卵パック事件。
これは、僕が大学入試に合格した時の話です。
地元の何の取り柄もない普通科高校に進学した僕は必死で大学入試の勉強をしていました。
センター試験を受けるという生徒も少ないためかどうかは分からないですが、センター試験前日まで森鴎外の『舞姫』をやっているような学校だからです。(今思うと他の受験生が授業で試験対策をしているのに、指名のある授業をしているとなると足に重りがついた状態で競争していたんだな。)エリスだかアリスだか知らないけれど、鴎外がどうなったか知らないけれど、そんなことよりセンター対策をしておくれ、邪魔をしないでおくれと思いながらも受験勉強をしていたのを覚えています。
センター試験当日、あごが外れる事件(これは別途書きます。)などの苦難もありつつ、奇跡的にセンター試験は過去最高の得点を記録し、第一志望の地元の大学を受けることとなりました。(当時から地元志向が強かったです。)
結果は不合格でした。
『あー、今までの努力が〜』と思いつつも宇高家の予算的には、浪人NG、私立NGのため、中期、後期にかけるしかありません。
特に母のショック具合は、僕よりも大きいようでした。
受験はチーム戦とよくいいますが、僕の高校では3月の最後まで残って戦うなんて生徒は片手の指以下の人数です。学年団の先生は、記念の韓国旅行があるからといってバカンスに出かけてしまい、1人でポツンと孤独と戦っていました。(本当に雑草魂です。笑)
結果的には、なんとか自力で中期、後期受かることができました。
結果報告があり、買い物から帰って喜んで母に伝えた所、
『おめでとう!受かると思っててん!だって、今日の星座占い1番良かったもん😊』
と嬉しそうに言いました。
『ありがとう!』と言いかけましたが、後半の部分を聞いて、
『え、僕の3年間の努力をたった1日の占いで受かったみたいな言い方は違くない?凡人が努力して受かったんやで。そんなたまたま占いが1番やって、受かるやったら誰も苦労せえへんくね?』
と言った瞬間、
『もうええわ!!!』
その言葉と共に、買ってきた卵パックをパックごと僕に向かって投げできて、そのまま部屋を出ていきました。
母はよく怒るとものを投げることがあるのですが、愛があるのかノーコンなのかは定かではないのですが、だいたいギリギリ当たらないところに物が飛んできます。
間一髪で卵まみれになるところでしたが、卵まみれをなんとか阻止することができました。
呆気に暮れていたところ、隣にいた父が急に落ちた卵をボウルに入れてキッチンの方に向かい始めました。
『お父さんなにしとん?』
と聞くと、
『勿体ないやろう。』
と言って、落ちた卵を焼き始めました。
(え、そこーーー?)と思いながらも受験祝いのディナーはぐちゃぐちゃの卵焼きをなんとも言えない気持ちで食べたことが忘れられません。
これが後に語り継がれることとなった宇高家卵パック事件です。
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