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茶色くて臭いアイツを食べた話

あれは中学生の頃だっただろうか。

築90年くらいになる宇高家は、断熱性がほぼ皆無のため、1年の大半コタツが出ている。

部活終わりに、居間でまったりミルクチョコレートDARSを食べていた。

甘党である私は、基本的に煎餅を初めとする塩辛いものはあまり食べない。

糖分が足りなくなると、生産性が落ちるため職場のお歳暮やら、お土産やらで置いてあるお菓子は基本的にこっそり食べてしまうくらいである。

コタツに入ってぬくぬくDARSを食べていた所、うっかりコタツ布団の上に落としてしまった。

父は中卒で職人に、母は私立の高校卒で、大した学歴がない(と本人たちがいっている)育ちが必ずしもいいとはいえない家柄である。その証拠に、職場でお前は声が大きいだの、焼肉の食い方を知らんだの、横着者だのと散々言われてきた。

そんな家柄で育った私は、落とした物は3秒以内ならこっそり食べるのだと教えてもらった私は、周りに見られていないか確認した後、すぐさま拾ってDARSを口の中に頬張った。

『ジョリジョリ、、、』

口の中でなんだかイヤな音とともに、もぞもぞと動くものがいるのを感じ、思わずDARS(と思われるもの)をオエッと言って思わず吐き出した。

そう、それはDARSではなく、茶色くてくさい臭いを放つアイツだったのである。

アイツは、冬場に良く出て靴下や下着の中に潜り込んでいることもあるアイツである。

アイツは、デコピンでどこまで飛ぶか競いあったり、服に付いてくると姉にめがけてデコピンで飛ばしたりしていた。

そうアイツは、『KAMEMUSHI』のことである。

アイツを見た瞬間、すぐに流しで口を濯いだが数時間程口からアイツの匂いが消えなく、夜はアイツにうなされる夢を見た程だった。

これは、アイツからの逆襲に違いない。

もうデコピンで、虐めたりしませんと心から誓った出来事でした。

DARSを食べるたびに思い出すカカオのようにほろ苦いおもひでです。

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