パトカーで連行された話

大学1回生の夏休み。

アウトドアサークルの合宿が屋久島であり、岡山から鹿児島まで青春18切符で旅をしていた時の話である。

1人で旅をするのが初めてで、母上から毎晩安否確認のメールが来てやりとりをしていた。今考えるとなんとも過保護で心配性な母上に育てられたのだと思う。

初日は長崎の有明海の浜辺で野宿していて気づけば満潮で流されそうになったこともあり、次の日こそは布団で寝ようと思い、熊本の阿蘇山の麓で宿を探していた。

たまたま見つけた交番でお巡りさんに、

『このへんで、安く出る泊まれる宿ありませんか?』

と聞いた。

『旅人か。よかよ、1200円で泊まれる宿あるから、パトカーのれい』

と言われ、急にパトカーに乗せられた。

色々と話を聞いていると、そのお巡りさんは、

戦時中に亡くなった台湾人のお墓を探して欲しいと頼まれ、3年近くの年月をかけてスキマの時間を見つけて探し出すという、僕が知っているお巡りさんとは違うお巡りさんだった。

半分くらい熊本弁が強すぎて何話してるか分からなかったが、そのお巡りさんのインパクトが強すぎたのが今でも印象に残っている。社会で人の役に立つ、誰かのために働くということを考えさせられた出来事でした。

自分自身のそれまでの価値観や世界観が広がった機会でもありました。

おわり。


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