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コロナ禍におけるコーヒーマーケットの動向と考察

コロナ以前は蒸し暑い東南アジアから北米に飛んだりと季節感のない生活を送っていたので、この1年は季節の移り変わりを肌で感じる日々が続いてる。特に梅雨の季節は海外出張が激しめだったので、いつの間にか梅雨が終わっているのが常だった。雨の滴る朝イチで飲む、深煎りのネルドリップがウマいんだなーと気付く。

コロナ禍で私の生活とビジネス環境も激変したように、コーヒー業界の動きも激変している。グローバルマーケットに目を向けると、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出制限により、2019-2020 年度のコーヒー消費量は対前年比 0.9%減の見込みだそう。

IN OCTOBER, the ICO composite indicator decreased by 8.9% to 105.85 US cents/lb as prices for all group indicators declined, though the largest decrease was for Brazilian Naturals. Global shipments in September increased by 0.9% to 10.16 million bags as increased Robusta exports offset a decline in Arabica exports. Exports in the coffee year 2019/20 fell 4.9% to 126.9 million bags, and the value of these shipments decreased by 3.6% to 17.87 billion USD compared to the coffee year 2018/19. Global coffee production in 2019/20 is estimated at 168.84 million bags, 2.5% lower than last year, while world coffee consumption is estimated to decrease by 0.9% to 167.59 million bags, resulting in a surplus of 1.24 million bags. - Source: “Coffee Market Report: September 2020 coffee exports rise, but 2019/20 shipments fell 4.9%" International Coffee Organization, October 2020

全生産量は2018/19シーズンと比べて2.5%減少しているようだが、ロブスタの輸出量は伸びているそうだそうだ。おそらく在宅時間の増加によって、インスタントコーヒーの消費量が増えているからと考えられる。日本においても、緊急事態宣言の影響で、家でコーヒーを飲む人が増えた。結果、家庭用コーヒー市場は伸長しているようだ。

「人気は、年々伸長しているスティックや一杯抽出レギュラー(ドリップ)などの簡便製品とともに、豆や小・中容量のレギュラー粉などのこだわり製品だ。「レギュラーコーヒーのカテゴリー全体が注目され、本質的な価値を見直される時代になってきた」(UCC)。“おうちカフェ”デビューの人が増えたことも追い風で、特に各社を驚かせたのは、4〜6月の販売金額が前年比で約1.5倍伸びた豆製品だ。こだわり派や豆を挽く体験を楽しむ人が増えている。」ー引用:家庭用コーヒーが売上伸長、外出自粛や在宅勤務が影響、新しい買い物様式に各社対応|食品産業新聞社ニュースWEB

これは僕の肌感覚とも共通している。緊急事態宣言に突入するたびに取材依頼が増えるし、著書の売れ行きやYoutube動画の伸びを見ていても、やはりステイホーム期間だからこそコーヒーを豆から挽いて丁寧に入れる、というニーズが顕著にあるのだと思う。

丁寧に豆から淹れたい、というニーズとともに、簡単に淹れたい、というニーズも先のICOのレポートからも読み取れる。タリーズさんも「TULLY'S COFFEE THE BARISTA’S ROAST」というドリップバッグをリリースする、と発表しているし、ドトールさんもECで豆販売をスタートしている。各社ステイホームマーケットを狙って動きを活発化させている。

ではスペシャルティマーケットはどうだろうか。日本のスペシャルティコーヒーの雄であるこの2社の動きに注目したいと思う。

このタイミングでボトル入りコーヒーを投入してきた2社の動きは興味深い。スペシャルティコーヒーの自家焙煎からスタートした両社は「拘り」のセグメントは抑えているので、「簡便さ」を求める顧客層を獲得する戦略なのだろうか。大手とコントラストのある戦略を取っているように見える。

コロナ禍は間違いなくコーヒーの消費のあり方を変えたと思う。簡便さを求めるニーズも高まった一方で、丁寧な暮らしのシンボルとしてコーヒーにハマる層も増えたように思える。よって、そのいずれかの層に刺さる戦略をとる方が良いのではと考えていた。

ただ世界津々浦々の経営者仲間のボヤキを聞いていると、幅広く流動的なコロナ禍のニーズに臨機応変に答えようとしている会社は上手くやっている印象がある。ただ、自己表現への強い拘りのある会社は逆に苦戦しているように思える。

ではその学びを受けて僕にできることは何か?それは簡便派であれ、拘り派であっても「心と体がホッと休まるコーヒーブレイクをプロデュースする」ことであり、そのためにコーヒーのある豊かな生活を多方面から提案し続けることだろう。しっかり芯は持ちつつ、臨機応変にコーヒーを編集して多くの方々に届けたい。


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