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黒毛和牛の『枝肉』とは⁈    『枝肉』のどこを見て判断してるのか⁈

久しぶりの投稿になりました。
投稿をしてない間に居住地を佐賀から畜産王国の鹿児島県に移しました。
現在は鹿児島県の中でも特に畜産が盛んな肝付町の畜産会社でお肉のカットを行っています。
これからは、台湾の現地法人に出向き、現地の人にカット方法など黒毛和牛の魅力を更に世界へ発信していく予定です。
また、今年10月には鹿児島県霧島市で第12回全国和牛能力共進会が行われます。これは5年に1度行われる『和牛のオリンピック』とも呼ばれる大会になります。
その模様も併せて、これからボチボチと投稿していきますので、お楽しみください!

枝肉とはなにか

今回は『枝肉』についてです。
まず、食肉の流通は『生体』から食肉処理場にて屠畜・解体され『枝肉』となり、食肉加工センターで脱骨処理され、『部分肉』となります。
そして、『部分肉』流通が卸問屋から精肉店などへ運ばれて、精肉加工され消費者のもとへ販売されます。

では、『枝肉』とは枝肉取引規格には次のように書かれています。
牛を屠畜(とちく)して、皮を剥ぎ内臓を出し、頭、前・後肢及び尾などを取り除いたのち、胸骨と恥骨結合を縦断する形で脊柱の中心に切断。左右の半体(半丸)にしたもの。
まぁ、この辺りはそうなんだ程度で流して大丈夫です。

『枝肉』の全体像

そして、枝肉の第6〜7肋骨間を胴切りし、その断面などを見て、『肉質』『歩留まり』の2つの項目で、いわゆる『A5』などの等級判定をします。

ここで、間違えてはいけないのは、あくまで食肉の『格付け』は『肉質(脂の色、肉の締まりなど)』と『歩留まり(どれだけのお肉が取れるかどうか)』の評価なので、『美味しさ』を評価してません。
『A5等級だから美味しい』との表現は間違ってます。

さらに、この格付けは食肉市場での枝肉取引を標準化し、適正な取引を促すためで、格付け明細表に記載してある各項目の数字を見ただけでは枝肉を判断出来ません。実際に自分の目で見て判断することが大切かと思います。

では、枝肉のどんなところを見てるのか?と質問が来そうなので、お答えします。

○モモの張り、内もものサシ
○背脂肪の薄さ
○ササミ(フランク)、インサイドのサシの入り方
○腹脂肪の色、ハラミ残り部分
○ネック部分のサシ
〇腎臓脂肪(ケンネ脂)の大きさ
○枝肉全体の形

色々と見るポイントはありますが、大まかにはこんなところです。

格付けで1番見る胴切りされた断面
バラの厚さなども確認
ももの1番表面に位置する『内もも』のサシが入っているかどうか

スーパーの台頭で、パックセンターなどが増え部分肉からに小割りしたスペックが多くなった時代ですが、基本は枝肉です。枝肉のどこに位置してるか、骨に近い部分なのかなど枝肉を理解するのは忘れてはいけない大事なことです。

『水引き』とは

最後に、『枝肉』を語る上で『水引き前重量』・『水引き後重量』があります。これについて、簡単に説明します。
『枝肉』は屠畜・解体の最後洗浄されます。そして、冷蔵庫にて冷やします。
その際、重量が目減します。これが、水引きと呼び、水引き前と後で約4%の枝肉重量変化があります。

枝肉について色々と書きましたが、様々な経験をしてきた今言えることは、生産者や屠畜場の方をはじめ多くの方々があってこそ枝肉が出来上がります。
その感謝を胸にこれからもお肉に向き合い、生産者の想い、お肉の魅力を国内外へ発信していきます!

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