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冬と春の空気のかけら

最初は怒りだったのに、だんだん悲しくなってきて、泣いた。久しぶりに、泣いた。

仕事が休みになって、家にいる時間がうんと増えて、それでもなかなか上機嫌に暮らしていたけれど、たった一つのことでふいに台無しになる。

人の悪意が見えた時とか、自分の中にもそんなような悪意が芽生えた時、悲しくて虚しい気持ちになる。
平穏だけがある生活はどこにも存在しないのかもしれない。

ここしばらくは、
本と睡眠とパン作りの日々だ。

昭和の終わりに第六四刷として書店に並んだ一冊。
緑地公園の近くにある良い本屋さんでひっそりとさしてあった美しい佇まいの一冊。時代が変わって環境が変わっても誰かを想うことは昔と変わらずにあり続けてるんだな、と当たり前のようなよくわからないことを思った。表紙、それから2ページめくったところに、みずうみ と題名だけ書かれたページがあるのだけど、印刷のインクのかすれや文字サイズ、空白がとても美しいので手に取る機会があれば見てみて欲しい。
一度読み始めると海外文学をもっと読みたくなってしまった。

これは本当に良い本。各家庭に一冊あって欲しい。
児童書コーナーでおすすめしていて欲しい。
たまには、こころ温まる話を読まないと、こんな世の中やってらんない。

ムーミン。ムーミンの本をずっと前に買って、ずっと、読まなきゃいけないな、読みたいな、と思いながら寝かしていたのだけど、ようやく読んだ。
読んでいる途中は、ムーミンまだ読み終わらない…ムーミンまだ… という感じだったけれど、読み終わってみればもう他のムーミンシリーズを読みたくなっている。

ムーミンママがムーミンに言った
「さぁ、あしたもまた長い、いい日でしょうよ。しかも、はじめから終わりまでおまえのものなのよ。とても楽しいことじゃない!」
“『ムーミンパパ海へ行く』p.210”
は、本当にその通りだと思った。ふと、良い。

愛がなんだ。
これ、めちゃくちゃよくわかる。共感してしまうから大変、大変な本だった。たぶん、愛じゃない。だから、愛がなんだ。映画はたぶん見ない。
ハッピーエンドのきもちのいい恋愛小説を読みたい!と思った。

はやく本屋さんに本を買いに行ける日が来て欲しい。欲しい本はないのに、本屋さんに行ってしまい、うっかり本を2.3冊購入してしまいたい。そして、またそれをすぐ読まずに寝かしたりなんだりしたい。
元のような生活がいつ戻ってくるのか(それは多分戻っては来なくて、なにか以前と違う、痛みを抱えたままの世界?)予想もつかないぼんやりした日々は、本の中身が違うだけの時間が過ぎていく幸せなのか不幸なのかよくわからない日々。

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