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帰り道、明るい

梅田に職場がある私は、帰りが遅くても道が明るい、空が明るい。
会社を出るとすぐにイヤホンを耳にさし、音楽を聞く。おそらく私の一日の中で音楽を聞く時間は概ねここだけである。
歩くのは大体15分程度、タクシーの長い列、企業のロゴ、防犯対策の店の照明、駅の入り口。全て明るい。
今日不意に見上げたホテルの外階段も全ての階に電気が付いていた。

会社の人が会社へ来なくなった。
拘束時間が長い、窓が開かないビル、いつも微妙なオフィスグリコのラインナップ。自転車に乗るのが好きだと言っていたから、毎日忙しく出かけてくれていたら良い。旅行や好きなことをできていたら良い。
パンを焼いてみれば良いし、家で映画を見て好きなだけ中断すれば良い。
上機嫌に生きることが、人生のコツだと思っている私は脳天気なのかな。

今週末、旅に出る。
島へ行く。
平日自分のデスクに座っている時、不意に我慢の限界を感じる。
その中で、半月ほど前に急に思い付いて計画を立てた。
島へ行くから船にも乗る。楽しみだ。

そういえば帰り道、花が落ちていた。
一体誰の腕の間からこぼれ落ちたんだろう。
明るい地面に落ちていたけど、誰も気にしていなかった。
みんな、どこを見て、何を考えながら生きているんだろう。
きっと明日になれば、この花はもうないんだろうな。
帰り道、この花を見かけなかった私は今週末行く島でどんなことを考えてどんな写真を撮るんだろう。


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