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めがね、傘、みどりの封筒。

毎日へとへとになるまで働いて、毎日おんなじような代わり映えしない日々を送る。毎日水やりをしているきゅうりとオクラ。ある日大きいオクラが出来てることに気付く、きっと私も可視できないなにかモヤモヤが溜まり続けていつか大きな何だろう、なにかになるのかもな。毎日小さな気付かない幸せが起こり続けて、それがたまって大きな幸せになればいいのにな。

ずっと会いたいと何年も思い続けていた人は、いつしかもう会えなくていい人になっていて、街で駅のホームで電車の中でふと見かけたらきっと私は逃げ出したくなるのかもしれない、と思うようになった。
一緒に食べに行きたかったご飯屋さんへは、違う人と行ったり行かなかったり、日が過ぎるごとに人に出会ってその分話すことも遊びに出かける場所も、見るものも増えて、あぁなんだ生きるのは案外いいもんだと最近すごく思う。

夜中にネイルを落とす。静かな夜の空気の中、焚いたお香の煙が闇に溶けていくのと同じように、アセトンのにおいも薄れていく。さっぱりしたけれど少しさみしい指先を見て、この爪の色で遊びに行った場所や会った人のことを思い出す。一人でいても充分楽しめる歳になったけれど、やっぱり友達は良い。特に少ない言葉で意思疎通できる友達は素晴らしい。そんな素晴らしい友達に会えた夜も、私が金曜日の夜に見た映画のヒロインが塗っていたネイルと同じ色の指先が覚えている。

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