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雨の京都、おいしいコーヒーのいれ方、暗闇のこうもり

平日、京阪電車で京都へ行く。
この日はもうすぐ東京に旅立ってしまう友だちに会いに行った。
枚方を過ぎれば特急電車の座席は隙間ができて、ひとり降りてはひとり乗ってきて という感じだった。
読み始めたばかりの単行本を開いて文字を追ったり考え事をしたりして、七条で降りた。

京都って、かなり京都だ。
橋とか建物とか、あと空の広さとか。
一昨年の夏に、(たぶんあれは銭湯の日だ)歩いた道を通った。角の八百屋さんにはいちごが売っていた。

京都駅のタクシーのしくみがわからない。
わからないままでもいいと思っている。

初めて京都駅の中を歩いた。
京都タワーを展望できる通路があったり、晴れた日はベンチに腰掛けてぼーっとしたいちょっとしたスペースとかもあって良かった。

もし 職人 になるとすれば、なんの職人になりたいか話した。友人は料理人 コーヒーを淹れてくれた男の子は靴職人 私はガラス職人と答えた。
どれもきっと始めてみれば叶えられることで、でも私たちはいろいろと他にも譲れないものたちに囲まれながら生きている。

ずっとおしゃべりをした。大半はどんな内容か忘れてしまった。

ずっとおしゃべりをしていたら雨が降った。
窓の外ではカーチェイスの現場が通り過ぎた。
店主の男の子は空になったカップに2杯目を注いでくれた。
京都の見たこともないフェイクグリーンの写真は撮らなかった。

この日は奇跡で必然的な日だった。
また会おうね。

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