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透明なガラス、どこにもない砂浜

高架下の喫茶店で、うとうとしながら本を読んでいた。眠気覚ましのホットコーヒーはまったく効用なしで、飲んでも飲んでも眠さは脳を支配したままだった。

夏は気付けばずいぶん過ぎ去りつつあって、朝晩は涼しい日が増えてきた。夜、みんなが寝静まった家の中は冷房がよく行き渡り、朝はひんやりとしている。セミはもう遠くでしか鳴いていない。

この前見た動画を思い出している。中央公会堂の中にはとても良い光が差し込む。まるでフランス映画に出てくるような、少女たちのバレエスクールみたいな雰囲気で、私はそのようなフランス映画は見たことがないけれど、そう思った。もしくは、映画の『花とアリス』かもしれなかった。

カメラで写せないとわかった景色は目でたくさん見ておこうと思うようになった。記憶はまったく信用できないのですぐに忘れてしまうかもしれないけれど。

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