忘れない切り取り日常
深夜にこそパフェが食べたくなるように、雨の日こそ写真が撮りたくなるように、寒いからこそ半袖シャツを着たくなるようなこと。
家の冷蔵庫の中にあるのに、ケーキを買って帰ってしまったりだとか、まだ読んでない本がたくさんあるのに、直感に任せて本を買ってしまったり、微妙に違う色のマニキュアを買ってしまったりする。
大切なものふたつは手に入らない時もあるのに、傷付いたと泣いてしまう。
そんなものだから、引っ越す時にきっと大変だなと思いながら、物が溢れている部屋をぼんやり眺める。
思いついては忘れて、覚えようとしては忘れて、記憶は物や音、空気に、場所に棲み着いて目にする度に思い出してしまう。
例えば、
美味しいものを食べる、肉も魚も野菜も果物もパンもお米も、なにもかも血と肉になる、とみりんの瓶に書いてあったこと。
20時、AtlantiQsに鳴らせという曲を聞きに行ったこと。
土日って何してるんですか、と聞かれて、生まれてからもう何度も土日を通過してきたのでもう特別に何かするなんてことはありません、と嘘をついたこと。
サングラスをかけているふざけた顔。
夜中に下の階から聞こえるガラスのコップを洗う音。
光るエレベーター。
お味噌汁を外で飲んだこと。
忘れてしまったら、仕方のないことだけど、できるだけ持って遠くまで行こうと思う。
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