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金柑の鉢植え

先日、神戸に行ってきた。
行きの阪急電車は空いていて、人と人の間には電車の
シートの色が見えた。

みんなどんな用事があってこの“新開地行き”に乗っているんだろう。
新開地ってどんなところなんだろう。
そんなことを考えていたら、気がついた時には三宮駅についた車両のドアが閉まるところだった。

神戸を歩くのが好きだと思った。
結局その次の駅で降りて歩いて三宮駅まで戻ることにしたのだけど、それは知らない土地を歩くにはいい距離だったし、いい運動になった。
アパートの廊下の手すりから、抱きかかえた犬に外の景色を見せてあげているおじいさん。
近所のラーメン屋さんへ入っていくカップル。
建物の奥にある喫茶店をのぞいていたらちょうど中から店主もこちらをのぞいていた。
おそらくもう二度と会うことのない人ばかりが歩いていた。

神戸にきたら必ず書店へ入ろうと決めていた。
それも、昔からありそうな書店。
駅の近くに良さげなお店を見つけたので入ってみた。古い本のにおいがする店内は、喉の調子があまり良くなさそうな店員さんひとりで、わたしはただただ本を眺めていた。
もうそれだけで満足だった。

帰りの阪急電車も空いていた。
梅田駅までの30分足らずの時間、本を読んだりぼーっとしたりして過ごした。
どこへ行けば、答えが出るだろう。
自分の中でどんな疑問があって、それに対してしっくりくる答えがあるのかわからない。
そういうものは、少し遠くへ出かけた先や帰り道にはっと気付くものだと少しだけ信じているわたしは、願掛けのように少しの遠出をする。
海辺の街が恋しい今日この頃です。

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