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ピンク色のコンバース

本を読むことにした。
それから、人のおすすめをきちんと聞くことにした。
そして、できるだけ考えごとをすることにした。

犬の散歩でよく行く公園には、散歩代理のおじいさんがいる。
犬を連れてくるのは自転車に乗ったおじいさんで、その犬を散歩させるのは、いつも公園をぐるぐる散歩しているおじいさん。
自転車のおじいさんは(たぶん)歩くのが少しつらい。でも犬は元気だから、草をかき分けてぐんぐん進むし、ほかの犬のにおいをかぎたい。
散歩代理のおじいさんは、毎日歩いてて元気だから、犬の元気さにも付き合ってあげられる。
これはなかなかすごいシステムだな、と思った。
そして、わたしもその白くてもふもふの元気な犬を代理で散歩させたいとも思った。

たまには、ザ文学 を読んでみようと思い、去年の夏に出版社のフェアで特別なカバーをかけて売っていたこの本を読むことにした。月と六ペンス。
海外文学はほとんど読んだことがなくて、唯一去年読んだブローティガンの『西瓜糖の日々』これはかなり良かった。文字がぎゅうぎゅうしてなくて、現実的でないところが好きだった。
月と六ペンスは、ゴーギャンをモデルにした登場人物が出てくる。
読み終わったあと、ゴーギャンの絵ってどんな感じだったっけ と思って、インターネットで検索したのだけど、ゴーギャンの絵をこんな数秒で見れる時代ってすごいし、ある意味それはもう冒涜かもしれないと思った。ゴーギャンは自分が題材にされた小説がでることも自分の描いた絵が遠く離れた未来の日本で20代女性にインターネットで検索されることも予測できなかっただろうな。

まさかわたしに、教授の本を読む日が来るなんて。
銀河の話から始まり、多数決の話、アリの話…
“そういうもの”として、漠然と受け入れてたことや感じてたことは、実はなんとか力学とかって頭のいい人たちが証明したり、まだ研究中だったりする。
“そういうもの”をそういうもののままで考えを完結しないというのは、すごい。

吉田篤弘の本ばかりを読みたい。
『月とコーヒー』を書店でよく見かけるようになった頃、人のおすすめを素直に聞き入れないわたしはまだ読まない と心に決め書店に寄るたびにこの人の本の購入を後回しにしていた。
無意識にタイトルに“深夜(の意味合いも含む)”が入った本ばかりを集めていた時に、『おやすみ、東京』を読んだ。
そして、これが3冊目の『フィンガーボウルの話のつづき』。小さな書店で買ったこの本は、同時期に発売されたもう一冊の本と並べて売られていた。世界がこういう状況のいま、はやく事態が収束してわたしは一刻も早くもう一冊をあの書店へ買いに行きたいと思っている。

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