見出し画像

ソファの記憶

子どもの頃の公園と大人になってからの公園は違う。
それは明るい時間に行っても夜に行っても同じで、大人になってからの公園は、なんとなく なぐさめ に近い気がする。

眠る時間が増えると、夢がどんどん生活を侵略してくることに気付いた。
夢の続きは容易に見ることができて、でも陽が登ってからの夢は大体後味が悪い。

写真アプリで、“夜”と検索をかけてでてきた写真たち。

前の家の自分の部屋にある小さな窓がお気に入りだった。そこから見えるのは本当にちっぽけな田舎の街と家の前に立っている街頭の灯りだけだった。
よく窓辺でキャンドルを焚いていた。

仕事からの帰り道、突然知らない曲がり角を見つけた。
毎日通っていたけれど気付かなかったのか、それか、きょうがたまたま雨でなんとなく街がしんとしていたから現れたのかもしれない。
まっすぐ帰る気も起きなくて、その角を曲がることにした。

家、紙工場、家、会社、家、家、が並ぶ通り。
玄関先は、いくつも植物が並べられていた。
人の気配はなくて、なんとなく違う世界にきたような気分になった。
通りを抜ける頃、小雨だった雨はだんだんと本降りになってきて、四つ角まで出たらそこはもう知っている道だった。

家まであともう少し、というところで小さい子どもを抱き抱えた男の人とすれ違った。
誰かに似てると思ったけれど、それは高校の頃の体育教師だった。
ご近所さんだったのか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?