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地底人の作ったいかだに乗って


電車のいすに座っていると、いろんな音が聞こえてきてちょうど眠たくなる。30分か40分か気がついたら目が覚めて、窓の外を見たら山がたくさん見えた。この景色を見たかった気がする。



海沿いの山道を登って、風が気持ちいいカフェに連れて行ってもらった。お店の人たちは、ちょうどよく放っておいてくれて、来ている人みんながのびのびと、くつろいでいる。こんな場所があるっていいな。
もう使われなくなったイカリやなにかの標本が広い二階の空間にぽつぽつと置かれていて、中でも静かに佇む黒いグランドピアノが午後の日差しをいちばん遠くで浴びていて、その景色がよかった。



不思議だなぁ、と思う、生きているなぁ、と思う。ずぼんの裾をまくって海に入ると水が冷たくて気持ちいい、海に向かって吹いたしゃぼん玉が波と一緒に帰って行く、踏めば、足跡が残る砂浜があって、足にしっかりくっついた砂はなかなか落ちない。なにか言っては笑って、会いにきて本当に良かったと思った。




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