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幸福のしっぽ

秋だ。
数年前から、この季節が来ると死にたくなるくらい気持ちが落ち込む日が増えるようになった。
仕事からの帰り道、家に帰ってから、突然それはやってきて、眠りに就くまでどう頑張ってもなにもかも駄目かもしれないという思考に取り憑かれてしまう。
そんな夜をどうやって過ごしてきたのかもう忘れてしまった。

遠くの町へ行って、出鱈目な名前で暮らしてみたい。新しい名前と新しい場所、新しい生活、新しい友だち、新しい職場。
本当は名前なんてなんだっていい気がするけれど、みんなは騙されたと思うんだろうな。それが悲しい。名前以外の本当のことだってきっとあるのに。

静かに鳴く虫たちの声を聞きながらひとり布団に潜って、あしたからの一週間を迎えよう。
ファイトな平日が待っている。
来週に待ち構えた大切な友だちとの乾杯を目指して。

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