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適度な距離感が良好な関係を築くのだ

同じ米沢市内に住んでいるのに両親とは同居していない。過去のわだかまりが原因である。今でも一年で顔を合わせるのは片手の指の本数くらい。

入試や就職の面接で必ずといってもいいほど訊かれるのは「尊敬する人は?」だが、同級生のほとんどは「父親」と答えていた。私は嘘をつくとすぐ顔に表れるので一度もそう言ったことはない。

なるだけ早く家を離れたくて高校生のときに約10日間家出をした。用意周到に生活に必要な衣類などを大きいバッグに詰め込んで。行き先は下宿アパートから登校していた同級生の部屋。

半年間は生活できる軍資金はあった。高校生になった時点でお小遣いはゼロ。生きるためには自分で交際費などを稼ぐ必要がある。部活後にアルバイトをしてコツコツ貯めてきた。

さすがに高校生の身分でアパートの賃貸契約はできない。なので同級生に頭を下げて居候させてもらったわけだ。我ながら偉かったのは家出中に学校をサボらなかったこと。

「終わりはいつか訪れる」そんな意識を保ちながら1週間が経過した。それでも捜索願が出されることはなかった。そんな親子関係である。このまま順調に卒業まで乗り切れるかと思っていた。

「おい、ヨコボリ、放課後職員室な」担任からの呼び出し。THE END.
親は警察ではなく学校に問い合わせたようだ。順番からして当然だな。

わだかまりが解けていく

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そんな親から「タイヤを見てほしい」と連絡が入った。自分でタイヤ交換したものの雨の日が運転怖くなったと。見ると2012年製の安い海外製のタイヤをスリップサイン&トレッド面にヒビ入るまで履いていた。

昨年秋には1本だけパンクして近所の整備工場で交換。なぜ1本だけなんだ!タイヤのプロなら全交換してあげなきゃ。しかも車検終わった翌日にバッテリーが上がるという訳が分からないことに。

とりあえず私が同じ銘柄のタイヤ3本と新品バッテリーを手配。バッテリー交換してから私が信頼している整備士さんへクルマを持っていく。

春の忙しい時期の隙間に入庫。申し訳ない気持ちで私もツナギを着てサポート。短時間で終わらせるために整備士さんがタイヤを組み換えした状態で私がエアを入れバランサーでバランス調整。

ここで新しい発見があった。純正ホイールではバランス調整がほぼ必要なかったのだ。「すげーな、純正ホイール!」社外品の倍の値段するのには理由あったんだね。かなり精度良く製造されていた。
タイヤもホイールもメイド・イン・ジャパンが一番なのだ。

バランス調整をしながら(これが最後のタイヤの入れ替えになるかな~)と思い、感慨深かった。おそらく5~6年後には免許返納する年齢だろうから。
クルマに関しては最後の親孝行だろう。

何とか次に予約されていたクルマに迷惑が掛からず完了。そのままの足で実家へクルマを返しに行く。かなり久しぶりに父親から「ありがとう」と言われた。これが普通の親子関係なのだろう。

親に感謝するポイントが人と違う

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そこから私はバイクに跨って福島方面へ走る。通常なら高速を使うが、桜がいい頃だと思い下道の国道13号線を使う。栗子峠がちょうど満開で飯坂町に近づくにつれて花吹雪。福島市内は完全に葉桜。

今年は異常に早かったんだね~ 長居することなく、また満開の桜を見に来た道を戻る。これで満足。1週間後には米沢も満開近くになるだろう。

もう見るポイントが終わり登坂車線に差し掛かった。前方のトラックを追い越し、快調に加速していく。「やっぱりシルコリンのオイルは滑らかだ~」
そんな気持ちよさが一瞬で吹き飛ぶ

ミラーに映った見覚えのある白と青。たった3ミリくらいの大きさだったが後方に確認。そのコンマ数秒後に赤色灯点灯!

これが点灯したら白バイは緊急走行に入り、白バイ自身の速度違反が免除される。黙って計測もできるわけだが「あなたのバイク(クルマ)はスピード出し過ぎているよ」と速度計測前に知らせるのがルール。

追尾計測されないためには赤色灯が点灯してから100m以内に速度を落とさねば。気づかないまま100m並走されたら一巻の終わり。

いや~登り坂で良かった。諦めた白バイ隊員はUターンして福島方面に戻っていく。心臓バックバク。以後はアンチャンの血を封印し大人しく走る。
そういえば今日は春の交通安全運動の初日だったな…。

もし私が視力2.0でなかったら気づくのが遅れて違反キップを切られたかも。ツイてた。親からもらった何処までも見える眼球に感謝である。

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