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落とし物にもエネルギーが宿る

どうにかならないものか、この激しい思い込み。この悪癖のせいでどれだけの失敗をしてきただろう。反省くらいじゃ甘すぎる、猛省だ!

一人暮らしを始めるときに百均に行った。初めて入る店でレイアウトが分からず店員さんに訊いた。「菜箸はどこにありますか?」「ナバシ・・・ですか」思案顔で通じていなそうだったので「料理するときに使う長い箸のことですが」と言うと「はい、サイバシですね」と赤っ恥をかいた。ずっと疑いもせず人前でも「ナバシ」と呼んでいたのだ。

財布を落としてしまった

小学生のときは財布を尻のポケットに入れて買い物に出かけた。ところが店に着き自転車から降りると、あるはずの財布が無い。小学生にしては8,000円って大金。焦って来た道を戻りながら探すが無い。

当時のあだ名はいくつかあったが、その一つが「栄養失調」というくらいガリガリだった。尻の肉が無さすぎて自転車がバウンドしたときに落ちてしまったのであろう。

今は移転して違う場所にあるが、当時の大門交番に駆け込む。事情を話すと「良かった、君の財布だったのか~ あのオジサンが届けてくれたんだよ」
振り向くと交番に入る直前にすれ違った人だった。警察官の話しを聞き終える前にダッシュで追いかけてお礼を言いに行った。とても優しい人で「お礼はいらないから今度から気をつけてね」と。もうポケットには財布を入れないと誓った。

今度はケータイを落としてしまう

時は流れ東日本大震災後。山形新幹線もその影響を受けて運休になる。東京までは夜行バスの手段のみ。当時はまだ折りたたみ自転車を荷室に入れてもOKだったので『BROMPTON号』を乗せて行く。セミナー受講後、自宅に帰るとバッグに入れたはずのケータイが無い

財布に限らずケータイもポケットに入れないようにしていた。今度は道路に落とすはずもない。だからバスの車内に落としてしまったのであろうと見当をつける。「すぐ見つかるはずさ~」と割と楽観的に考えていた。

ところがバス会社からの電話では「お客様の座席、そして車内くまなく探しましたが見つかりませんでした」と。これには困った。他にアテがないぞ。仕方なくまだ捨てていなかった古い機種で繋げるようにした。

不覚だったのは無くしたケータイの電源を切っていたこと。これだとGPSである程度の位置を探索できないのだ。旅行中は何があるか分からないので常時電源入れっぱなしが鉄則であると学んだ。

特に古い機種でも問題なく使えていた7カ月後、千葉県の警察署から電話が入る。「あなたのであろうケータイが遺失物として届けられた」と。詳しく伺うとバス会社の保管期限が切れた3カ月後にまとめて警察署へ届けられるようになっているらしい。やっぱりバス車内にあったのね。しつこく毎日電話するべきだった。時間的に合わない部分もあるが結果オーライ。

何度も助けられているので私も見つけたら届けるように心がけている。一つ心残りがあるとすれば仙台にて。バイクで走行中、風に舞っている裸の6,000円を見つけた。財布ならまだしも現金か・・・う~ん、と迷った挙げ句通りすぎてしまった。元を辿れば誰かのお金だったのに助けられなかった

スマホ救出劇

そして今度は妻のスマホが紛失。相馬市の『浜の駅 松川浦』で。買い物をしてすぐ裏にある海辺にも足を伸ばした。行動範囲は広いぞ。怪しいのは海か。私の首の後ろが真っ赤になるくらいまで滞在したので。

頻繁に私のスマホで呼び出しながら探すも見つからず。お店にも訊いてみたが届いておらず。でも店員さんは「絶対に諦めないでくださいね、午前中に失くされた方は無事発見されましたので」と。

小一時間一緒に歩き続けた子どもがそろそろ飽きてきた。滅多に与えないジュースを買ってやり妻と車内に残し、私一人で探索に出かける。今まで警察署へ届けられたのは上記の2件だけだが、他は全て自分で見つけている。

懲りずにこれまでも財布、ケータイを紛失してきた。ときには確定申告書なんてのも銀行のATMに2回置きっぱなしにしてきたこともある。脳に何か欠陥があるのでは?と疑ったこと多々。ただ、記憶力はまずまずなのでいずれも記憶を辿って見つけてきた。

鍵は立ち止まったところ。真っ直ぐ歩いているだけで何かを落とす確率は低い。方向転換したりバッグから何かを取り出すときに一緒に落ちてしまうパターンが多いのではないか。これも思い込みでなければね。

首を横に振ると手元・足元のバランスが崩れやすい。小説がもし横書きだったら脳の理解力は縦書きより著しく低くなるだろう。

見つかったのは横断歩道の手前。絶妙に人の動線から外れていて踏まれた跡もなく無傷。妻に返すと店員さんからの着信履歴がたくさん入っていたと。口だけでなく頻繁に誰か拾っていないか発信を続けていたらしい。誰かの想いが強く入ったものは例えそれが機械であったとしても何らかのエネルギーが出て人が導かれるのではなかろうか。

私はその店員さんと直接話さなかったが、次に行ったらぜひ話してみたい。「絶対に諦めないで」と言えるからには、もしかしたら私と同じような体験をしたことがあるのかもしれない。

米沢ー相馬間は高速が繋がったこともあり、渋滞がなければ約1時間で着く。また新鮮な海の幸を求めて訪れよう。

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