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旅するBD-1、東海道五十三次旧道を行く_00:日本橋

Day 1 1:03_日本橋

終電間際の電車で、横浜方面から東京駅へ。これが都内方面からの下り電車だったら、酔っ払いの乗客で混雑しており、さらに車内は饐えた甘い匂いで充満していることはほぼほぼ間違いありません。しかし、この時間の上り電車の乗客は多くないので、終電間近特有の匂いは幾分弱め。もちろん、酒に酔っているような人たちであることは変わらないのだけれども。

この夜、はじめてBD-1を輪行袋に入れて電車に乗った。家を出る前に仮眠でもしようと思ったけれど、興奮して眠れなかった。ちょっとした冒険にでかけるみたいで、心が躍っていたせい。しかし、これから訪れようとしている場所は、ほとんど一度は行ったことがある場所ばかり。未知の世界を旅するわけではないのに、この高揚感はなんなのだろう。折りたたみの自転車で旅をするという初めての行為に、緊張していたとしか思えません。

先頭車両に乗り込み、輪行袋を他の乗客の邪魔にならないよう運転室との隔壁に立てかける。ヘルメットなんぞも持っている私の姿は、明らかに車内で浮いた存在。ふだんなら恥ずかしい出で立ちなのだけれど、かえってそれが自分ではないみたいで、我が身を取り巻くすべてが別の世界のようで新鮮な気分。もっとも旅の非日常を演出するために、いつも通勤で使う地下鉄ではなく、ほとんど乗ることのないJRの車両を選んだわけなのですが。
 

深夜の東京駅八重洲口で、輪行袋からBD−1を取り出して……

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