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読めもしない、ボードレール

櫻井敦司さんが亡くなって、もうすぐ1ヶ月が経ちます。
何度も何度も「形而上 流星」を聞きながら、ぼんやりとした寂しさと過ごしました。

中学、高校とBUCK-TICKの音楽をウォークマンで聴き続け、ライブに行ったり、ビデオクリップをみたり。
まだ世の中がわからなくて、無邪気にヤンチャに生きていた時代にそばにいてくれた存在。
読めもしないのに、カバンの中にはボードレールの本を入れていました。

大人になってからもたまにアルバムを買ったり、動画をみたりしていたけれど、今となってはもっとライブに行っておけばよかったと後悔しています。

敦司さんが亡くなったとき、自分の記憶の1枚が剥がれ落ちたかのような切なさと、脳幹出血という病気で突然亡くなられたショックを受けました。

私は今年の1月のくも膜下出血で倒れていたこともあり、脳出血や脳損傷についての本をたくさん読んでいたのですが、本当に突然の出来事で、ご本人も何が起きているのかはわからないまま、倒れてしまったのだと思います。

私の場合は、何か大変なことが起こっているけれど、何が起きているのかはわからず、でも意識は遠のいていき、いつの間にか目を閉じていて、その時にはもう苦しいとか、辛いという感覚はなくなっていました。

そして、このまま死ぬのは嫌だとか、生きなきゃとかそういう感情もありませんでした。

脳出血は本当に突然で、自分も周りも予期せず起こるものです。そして、何か大きな原因があるわけでもありません。血圧が高くても、お酒を飲んでても、脳出血が起きない方もたくさんいますし、何かが悪いわけでもなく、原因が何かなんてわかりません。

4年前に友人が癌で亡くなった時に、ターミナルケアを行なったことがあります。
彼女は全身に癌が周り、死を待つだけの状態でした。痛み止めを打ちながら過ごす中で、食事も取れなくなり、呼吸もできなくなり、痩せほそり、最後はモルヒネをうち死を待ちました。

彼女は遺言もなく、最後まで夢を持ちながら亡くなっていきました。その時、「死は人間が関われるものではないんだ」と思いました。


たくさんの曲を残して、たくさんの夢を見させてくれた敦司さん。
きっとこれからも残り続ける敦司さんの存在は、未来へと続いていくのだと思います。

夢は終わらないよね。
きっと。




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