博士になれそうです&役に立ったもの
本日、博士学位審査の公聴会が終わり、本審査を無事にパスしました。つまり、博士学位が授与されることがほぼ確定しました。とりあえず、無事に終わって良かったという感じです。
博士論文を書き上げるにあたって役に立ったものを述べていきます。
1. ChatGPT(GPT-4)
現代の頭脳。私(数年間、本気でプログラミングを勉強したのですが……)よりも書くコードが綺麗。
現状、月 19 ドルの課金(+API を使う場合は従量課金)が必要です。かなり高いですが、その価値は十分にあると言ってよいでしょう。
用途その1:データ解析
評価実験は面倒くさいです(断言)。人集めや実際の立ち会いが一番の負担だと思いますが、最後にボディブローのように効いてくるのがデータの解析。軽いはずなのに重い。最後のワンステップがどうしても気が進まない。
そんな時は AI に任せましょう。
文句ひとつ言わずに統計解析やグラフ化を進めてくれます。辛い時に寄り添ってくれる AI。たすかる。
用途その2:誤字チェック
100 ページレベルの文章を、一切の誤字なく書き上げるのは現実的に不可能です。このレベルになると、どれだけ気を付けるかという「気合」の話ではなく、いかに漏れなくチェックをするかという「体制」の話になります。
機械的に判断できる部分は検索/置換でなんとかできますが、それ以上の自動チェックは自然言語の領域になり、素人には難しいとされていました。だが……今は違う!
GPT-4 による丁寧な添削を一瞬で受けることができる!
技術的な詳細は省きますが、Python スクリプトを組み、API トークンを利用して論文の英語を全文添削してもらうことが可能になりました。
以下は、実際に役に立った例。
自分が犯した初歩的なミスを晒すのはやや恥ずかしいですが、参考のために。非ネイティブが大量に文を書いていると、どうしても初歩的なミスが出てしまうものですが、これによって、それらを迅速にチェックできるようになりました。
※不使用:英文を書かせる
読者の中には、「最初から ChatGPT に英文を書かせればいいのでは?」と思った人もいると思われます。もちろん、それも有力な選択肢です。しかし、その用途には使いませんでした。
なぜかというと、自分ではあまり使わない単語や表現が少なからず出てくるため、それらが正しいかを十分に検証できないと考えたからです。意思疎通が出来ればいい程度の文章ならともかく、論文として出すには信頼性が大事です。別の言い方をすると、著者として、「この単語にはどのような意味があるのか」「なぜその表現を使ったのか」ということを十分に説明できる必要があります。
その点から考えると、ChatGPT や DeepL のような「こなれた」翻訳を返すものよりも、Google 翻訳のようなものの方が都合が良いです。具体的には、愚直に近いけれども文構造に忠実な英文を返してもらい、それを微調整した方が安心できます。
余談になりますが、DeepL はわりと大胆な省略や意訳を連発するので、大事な文を翻訳させる際には要注意です。いくら機械が便利になっても、最終的な責任は人間が負いましょう。
2. REALFORCE R3
博士論文で書く文章量は膨大なものになります。分野にもよりますが、本文だけで 100 ページ、リファレンスは 100 報以上が目安になると思います。数字がすべてではないですが、よほど尖った内容/構成でなければ、順当にこのぐらいにはなると思われます。
このキーボードは、キーボードとしての品質(タッチ感覚)とかももちろん一級品ですが、何より助かるのは、キーマップが変更可能な点です。これにより、腕の負担を大幅に減らすことができます。
それなりのタイピングスキル(寿司打 15,000 円得 over、e-typing「LaserBeam」安定)を持つ者として断言しますが、タイピングの疲労のほとんどは右手を動かしてエンターキーとバックスペースキーと矢印キーを連打することに由来します。長期間集中してタイピングをするなら、手をホームポジションから動かさないことは鉄則です。
約 3 万 5 千円するので、かなりの出費になりますが……。
ちなみに、キーマップ変更ができれば REALFORCE R3 でなくても構いませんが、
ハードウェアとしても一級品
キーマップツールをネイティブサポートしており、使いやすい
という観点から一推ししています。
例えば、HHKBでもいいです。価格帯として同レベルですが。安く済ませたくい、もしくは、ハッカー気質がある人は、キーマップツールを自作しても良いでしょう。大事なのは、手首の移動と小指の連打をなくして、あなたの貴重な腱鞘へのダメージを少しでも減らすことです。
3. Overleaf(※有料化)
自前で tex 環境を構築する必要がなくなるクラウドサービス。更に、外出先でどこからでも編集できます。博士論文に限らず、すべての論文をこれで書きました。
無料でこんな便利なものが許されていいのか……と思っていましたが、2023 年後半に一部有料化しました。この結果、博士論文並のボリュームがあるものは事実上有料プラン(月 21 $)必須に。提供している価値からするとやむなしという感じはします。
すべての大学は、出来ればこれをサポートしていただきたい。あと、出来れば Adobe CC も。
書きたいことがあまりない
いざ終わってみると、書きたいことがあまりありません。
たぶん、本当に大事なこととか、本当に苦労したこととかは、他にいくらでもあります。でも、そういうことは、終わってしまえばすべて都合良くまとめることができる一方で、苦しんでいる最中は冷静にまとめる余裕がありません。だから、終わる前に書いても、終わった後に書いても、どうしても嘘になってしまう。
個人の経験のクリティカルな部分は、そのように、肝心のところは他人と共有することが難しいものだと感じます。
以下、ある書籍からの引用になります。
※タイトル画像は「VRの研究をしている博士の女の子」というテーマで ChatGPT に描いてもらいました
※筆者はおっさんです
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