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大学生、被災農地を復旧(2012/1/13掲載)#東北ボランティア

2012年1月13日の石巻日日新聞に掲載した記事です。
東日本大震災の復旧復興のため、東北を訪れたボランティアの皆さんの様子をお伝えするため当時の記事を掲載しています。

 東日本大震災の津波の直撃を受けた東松島市内のイチゴ畑を、仙台市の大学生グループが復旧させた。学生たちはイチゴ農家と一緒に、約半年かけて畑に流れ込んだガレキを除去したり、倒壊したビニールハウスを修復するなどの作業に取り組んだ。学生たちは「みんなの力で農業が再開できてうれしい」と喜び、農家は「被災直後は再開をあきらめていた。大学生の協力で再び栽培することができた」と感謝している。

 復旧に協力したのは東北学院大=仙台市=や東北大=同=、宮城大=大和町=などの学生で作るボランティア組織「みまもり隊」だ。昨年6月に活動が始まった。当初は木村代表ら7人でスタートしたが、「被災地支援を手伝いたい」と徐々にメンバーが膨れ上がった。最終的に活動に参加した学生は延べ約100人に上った。

 週末を中心に東松島市矢本新沼のイチゴ農家、鈴木裕子さんのビニールハウスに集まり、復旧作業を行ってきた。鈴木さん方は津波で漂流してきたドラム缶や松の枝が流れ込み、7棟(約2100平方メートル)すべてが壊れる被害。メンバーたちがガレキやヘドロを除去するなどの作業を行った結果、2棟(約180平方メートル)が復旧し、昨年12月からイチゴ収穫を再開。収量は少なかったがクリスマスケーキ用として石巻市内の洋菓子店に出荷できたという。

 「被害の大きさに何も考えられなかったが、学生の支援で少しずつ畑がきれいになっていくのがうれしかった。ほんとうにありがたい」と鈴木さんは畑を見ながら話した。

 昨年末には、復旧を遂げたビニールハウスで学生たちと農家の親ぼくを図るイチゴ狩りが開かれた。復旧に携わった約20人が参加し、鈴木さんと懇談しながら、イチゴを摘んでいた。

 山本祐一さんは「ガレキを集めたり、ビニールハウスのパイプを抜くなどの力仕事を主にやった。活動したばかりの頃は『畑が元通りに戻るにはどれだけ時間がかかるだろう』と気が遠くなる思いだったが、半年ほどで再開できて良かった」とほっとした表情をしていた。

 木村代表は「はじめはどこから手を出して良いか先が見えない状態だった。このボランティアであきらめずに取り組めば可能性が開けることを学んだ。今後もこれを糧に活動していきたい」と力を込めた。

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