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4分の1サン・ファン号完成

今秋再開館へ準備進む

 老朽化に伴って解体された木造復元船「サン・ファン・バウティスタ号」の後継となる4分の1大の新たな船が完成し、31日に報道公開された。原寸の復元船を忠実に縮小しており、船首像や船尾の九曜紋、3本のマストも精巧に再現。繊維強化プラスチック(FRP)製の外装で耐久性を高めた。長期休館中のサン・ファン館=石巻市渡波=は、関連展示の整備を進め、今秋の再開館を予定している。

木造復元船を忠実縮小

 原寸の復元船は平成5年に完成。東日本大震災の津波にも耐えたが、その後の強風でメインマストが折れるなどした。修復後は船体の腐食が見つかり、県は有識者会議を経て木造船の維持管理が難しいと判断し、解体が決定。令和4年7月に作業を終えた。

復元船を忠実に縮小した後継船が完成した

 復元船が係留されていたドック棟は埋め立てられ、広場に変わった。その中央に鎮座する後継船は復元船のデザインを基に製作。外装はFRP、内部は鉄骨構造で耐久性を高めた。全長14・2㍍、高さ12・3㍍で、木の質感や装飾も精巧に再現された。

船上には支倉常長ら使節団のミニチュアもあり、スケール感を伝える

 設置は4月17日に始まり、船首、船尾に2分割して搬入。船体は樹脂で接合され、つなぎ目もきれいに修整された。マスト類もFRP製で、船上には慶長遣欧使節団の支倉常長らを人形(全高約40㌢)で再現した。船は土台で浮かせており、船底まで見えるのが特長だ。

 後継船を囲むドック棟には、木造復元船で使用していたメインマスト(約32㍍)を展示するほか、九曜紋や船首像、巻き上げ装置なども展示し、実際のスケール感を伝えていく。

ドック棟は今後舗装され、原寸大のメインマストが置かれる

 また、スマートフォンなどで帆を広げた状態を画面で楽しむAR(拡張現実)技術も盛り込まれる予定。後継船の置かれた広場は当時の航海技術を知る体験イベントなどに使い、歴史を楽しく学べる場にしていくという。

 サン・ファン館広報企画課の高橋正法課長は「縮小によって全体像を把握しやすく、復元船では見えなかった船底の形状も分かる」と話していた。
【渡邊裕紀】

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