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第101回石巻川開き祭り 市民が盛り上げ にぎわい本番

孫兵衛船競漕や陸上行事開幕

 第101回石巻川開き祭り(同実行委員会主催)は2日目の3日、石巻市中心部の陸上行事や旧北上川での「孫兵衛船競漕」が始まった。各会場を多くの人が行き交い、夏の日差しの下で市民が元気な演技や競技で熱く盛り上げていた。祭典行事が中心のきのうと打って変わって祭り本番のにぎわいとなり、今夜は午後7時半から東北最大規模の約1万6千発を打ち上げる花火大会がある。

 手こぎの孫兵衛船は、石巻大橋から下流550㍍がコース。水の都を象徴する行事で、12人乗り一般は42回目、女性限定8人乗りのミニは26回目を数える。一般は34、ミニは10チームが住吉公園前から乗り込み、あすの決勝レースを目指して激しい予選争いを繰り広げた。

孫兵衛船による激しい水上の戦いが始まった

 堤防上では各チームの仲間や同僚らが応援観戦。昨年と同様に実況放送があり、船から聞こえる掛け声と相まって見る人の心を熱くさせた。

 平成13年当時の釜小学校PTAで構成する釜孫兵衛倶楽部は平均年齢約55歳。これまで3位が最高で、今年は予選最初のレースに出場し、見事に準々決勝進出を決めた。須田直哉さん(64)は「年に一度集まり、終わってから飲むのが楽しみ」と汗をぬぐい、ベテランパワーで自分たちの記憶に残るレースを誓った。

 一方、石巻小学校前から立町大通りまでの目抜き通りが歩行者天国となり、陸上行事の会場になった。通りは万国旗や手作りの七夕飾りで彩られ、浴衣の客や演目の数々をさらに華やかに演出した。

 祭りは4日が最終日。中心部で恒例の小学校鼓笛隊などのパレードがあり、18団体の大漁踊りで締めくくる。あすも天気に恵まれる予想で、おのおのに暑さ対策が必要そうだ。【熊谷利勝】

亡き人へ思いと夏の便り

東日本大震災慰霊祭 能登半島被災地にも祈り

 石巻川開き祭りが開幕した2日夕には、住吉公園で川村孫兵衛翁報恩供養祭と川施餓鬼供養祭、東日本大震災慰霊祭が営まれ、地域住民や関係者ら約200人が参加した。石巻仏教会の僧侶ら約20人による読経の中、遺族や市民が焼香し、亡き人を思いながら静かに手を合わせた。

 仏事開始前のあいさつで齋藤正美市長は震災犠牲者に思いを寄せ、「復興で新しいまちづくりが進んだが、大切な人を失った心の悲しみは決して癒えるものではない。皆で心を込めて祈りをささげよう」と参加者に呼びかけた。

焼香台の前で手を合わせる市民

 石巻市めぐみ野から訪れた男性(73)は当時南浜町に住んでいた弟家族や親戚を津波で亡くした。「生きていれば、この祭りも一緒に楽しめたのになと毎年思う。あの日を忘れることはなく、悲しさは今も変わらない」と話した。

 石巻市中央の奥田雅子さん(82)は能登半島地震で犠牲となった人々や、今年死別した近しい友人など自身の心の中にある全ての亡き人の御霊に祈りをささげたという。「読経の中で手を合わせられるのは私たちにとってもありがたいこと。どうか安らかにと、心の中で祈った」と語った。

 川開き祭りは、伊達政宗の命を受けて北上川を開削し、石巻に港を開いた「川村孫兵衛重吉翁」に対する報恩感謝の祭りとして大正5年(1916年)に始まった。先人をたたえるとともに水難者の供養も行うようになり、震災後は津波で犠牲となった人々の冥福を祈る慰霊祭も兼ねて実施している。
【山口紘史】

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