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伝統の正月料理を後世に

女川町で多世代交流

 郷土料理を通して世代間交流を図り、地域の食文化を伝えるワークショップ「第3回みらいに残す、ふるさとの食卓」が30日、女川町保健センターで開かれた。女川小学校の児童と大人計44人が参加し、雑煮を作って一緒に食した。きねと臼を使った餅つき、獅子振りの披露もあり、一足早い正月気分を味わいながら後世に残す文化や伝統を考えた。

 石巻市を中心に、全国でこども記者による情報発信を行う一般社団法人こどもみらい研究所(太田倫子代表理事)主催。東日本大震災後の移転や過疎化などで人のつながりが希薄になる中、食を通して多世代の交流と生活文化を伝える場として企画している。

 これまで、集団移転先の同市二子地区で7月にずんだだんご、東松島市あおい地区では9月におくずかけをそれぞれ作った。3回目は女川町で雑煮に挑戦し、同町食生活改善推進委員会(勝又菊枝会長)の委員10人と児童が一緒に調理。地域ブランドの河北せりやゴボウ、ニンジン、大根などは㈱石巻青果が提供した。

雑煮作りと獅子振り披露

 雑煮は各家庭で使う具材やだしに違いはあるが、同町では凍み豆腐、豆もやしを使う家庭が多く、この日もこの食材を入れた。児童は推進委員に野菜の切り方を教わり、下ごしらえを手伝った。

きねと臼を使って餅をついた
食改メンバーと一緒に調理する子どもたち
雑煮ときんぴらごぼうhttps://kodomokisha.net/recipe/

 雑煮に欠かせないもち米も炊き、きねと臼で昔ながらの餅つきも体験した。児童はきねの重さやもち米の粘り具合に驚きつつ、楽しんでついた。地元出身でコバルトーレ女川の佐藤稜馬選手(19)、須田柊斗選手(22)もきねを振るった。

 つき立ての餅は一口大にし、具材たっぷりの汁を注いで雑煮の完成。推進委員は余った具材できんぴらごぼうも作り、食卓では地域住民や児童、推進委員が肩を並べ、出来立てに舌鼓を打った。

 石巻青果の門間義典総務部長は「河北せりは地域の雑煮には欠かせず、300年前から作られている伝統の野菜」と説明。大根は丸いので「角が立たず丸く収まる」、ニンジンの赤色は魔よけになるなどと教え、関心を集めていた。

具材たっぷりの雑煮を味わった
元気な獅子舞いが福を招いた

 食後は女川小獅子振り隊の児童8人が獅子振りを披露。6年生の鈴木碧虎さんが「雑煮といえば正月、正月といえば獅子振り。郷土料理を教えてくれた皆さんに感謝を込めて届けたい」と述べ、太鼓や笛、獅子と役割を分担し、来場者の頭をかんで邪気を食べ、福を招いた。

 竹浦獅子振保存会の阿部貞会長は「子どもたちがやることで町全体も盛り上がる。伝統をつないでほしい」と期待。調理も頑張った児童に対し、食改の勝又会長は「みんな包丁の使い方が上手で、きれいに具材を準備してくれた。地域の伝統料理に少しでも興味を持ってくれたらうれしい」と話していた。

 イベントは「宮城県NPO等による心の復興支援事業補助金」の助成を受けて実施。本年度は4回開き、最終は来年1月18日に二子西町内会館=同市二子二丁目=で茶色いがんづきとながし焼き作りを行う。【渡邊裕紀】


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