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外来種捕って食べる(上)

好奇心と食欲携え自然の中へ

 外来種のウシガエルとミシシッピアカミミガメに、ナマズやコイ。これらは石巻専修大学の2年生有志4人で作るグループ「こんじん」が捕獲、調理し、食した生き物の一部だ。いずれも石巻市内の用水路や沼などで捕まえた。4人のルールは「捕獲した生き物の命は決して無駄にしない」こと。自然に飛び込み、好奇心と食欲の赴くままに遊ぶ中で生き物の命に対する責任も学んでいる。(2回続き)【泉野帆薫】

石巻専修大の4人「こんじん」

 こんじんは、同校理工学部生物科学科海洋生物・環境コースの伊藤龍斗さん(19)、奥山倖成さん(同)、佐藤歩夢さん(同)、松本太一さん(同)から成る。生き物への愛情と強い好奇心、食欲が4人の共通点で、大学の実習だけでは飽き足らず自主的に活動している。グループ名は温暖な地域の川に生息する「コンジンテナガエビ」から取った。

足に触るナマズの感触を確かめながら慎重に歩く

 活動の発端は昨夏ごろ。魚釣りに使うエサを探そうと用水路へ向かうと、そこで生息する多くの外来生物に興味が湧いた。「好奇心の強い4人だからつい食べたくなってしまって」と佐藤さん。その場で特定外来生物のウシガエルを捕まえ、から揚げにして食べたことが始まりだった。

 活動の舞台は市内の用水路や沼、沢。主に生き物の動きが活発になる深夜帯を狙う。

網に入った大きなコイが勢いよく飛び跳ねる

 4月20日の昼過ぎ、同市大瓜の用水路にメンバー3人が集まった。胴付長靴に着替え、網を片手ににごった水辺へちゅうちょなく踏み入っていく。

ウシガエルはから揚げに

 「いたぞ!デカい!」。すぐさま伊藤さんの網がウシガエルを捕えた。「少し前まで寒くて全然いなかったのに。暖かくなったから出てきたんだ」と久しぶりのウシガエルとの対面に興奮気味の3人。「カエルだけじゃ足りないからナマズも狙うぞ」と気合いが入る。ナマズは、かば焼きやフライにすると絶品だとか。

 「足にぬるっとした感触がした。ナマズいるぞ」と松本さん。挟みうちで捕まえようと、網を持って構える奥山さんの方へ伊藤さんと静かに近づく。網に入ったのは大きなコイ。ナマズは足の間を器用にすり抜けてしまったようだ。「コイかあ。まだうまく料理できないんだよな」。料理好きの奥山さんは、少し落胆してコイを用水路に逃がした。

クーラーボックスから脱走して捕獲されたウシガエル

 ここでの成果はウシガエル1匹。特定外来生物は生きたまま持ち出すと違法に当たるため、奥山さんが手持ちのナイフでカエルを絞める。保管していたクーラーボックスから取り出そうとふたを開けるとカエルが飛び出し脱走。「今日の大事な食料が」奥山さんと松本さんが走ってなんとかつかまえた。

 「体が大きくても皮膚のすぐ下には内臓が詰まっていて案外、可食部は少ない」と奥山さん。「カエルだけじゃ物足りないね」。3人は、また別の沼に向かった。


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