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贅沢の木

シャインマスカットを初めて食べた。

シャインマスカットなんて、富裕層の食べ物だと思っていた。
東京に引っ越してくる前は、成城石井なんて世田谷とかに住んでるセレブだけが行くスーパーだと思っていた。
最近では、毎週仕事終わりに最寄り駅にある成城石井に寄って、ちょっといいポテトチップスと炭酸ジュース(年々お酒に弱くなっている)を買って、家でひとりプチ打ち上げをするのが習慣になっている。


「安住伸一郎の日曜天国」で、安住アナがぶどうについて熱く語る回をたまたま聴く。どうやら「ナガノパープル」という品種が最高に美味しいらしい。その時は「そんなもの、富裕層の食べ物だろう…」と、遠い存在に思っていた。

放送を聴いてからしばらく経った頃、職場の近くの八百屋さんでナガノパープルが並んでいるのを見かけた。こんな昔ながらの普通の八百屋さんでお目にかかれるとは…。しかし、贅沢が苦手なうえに優柔不断なわたしは、ナガノパープルを見逃したのである。

先日、同僚の子がシャインマスカットたまに食べるんだーという話をしていて、「そうか、わたしみたいな庶民でも食べていいんだ…」と気づき、退勤後一目散にそのナガノパープルが売っている八百屋さんへ向かった。

ナガノパープルは残念ながら無かった。
代わりにシャインマスカットを買った。

勿体無いから、何日かに分けて食べようと
小皿に4粒ほどのせて食べる。
が、気づいたら一瞬で一房をたいらげてしまっていた。
おそるべし、シャインマスカット…

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小さい木、みたいだなと思って
捨てられないシャインマスカットの残骸
贅沢の記念として。
たまの贅沢というのは少し罪悪感があって、とてもたのしい。


2020年10月29日

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