やっと辿り着いた、ちいさな私の恐れに
あと1ヶ月で、40歳になる。
結婚もしておらず、もちろん子供もおらず、仕事で大成功しているわけでもない。
ただ好きな仕事をして、友人や先輩にも恵まれ、無借金で暮らしてる、それだけ。
毎日は楽しい。些細なハプニングはありつつも、毎日は穏やかだ。
けれど、ふとした瞬間に開く扉がある。
いつもは固く閉じられた、その扉の奥は闇。
そこにいるのもまた私なのだ。
あるときは涙を流し、あるときは打ち震え、あるときは空をぼんやりと仰ぐ。
やり過ごしたことすら忘れていた嫌な出来事。
克服したと思い込んでいた傷。
数年先の自分の未来への漠然とした不安。
それらは確かに私の一部として、その扉の中にある。
楽なのは、開けてしまったその扉を閉めて、見えなくなるくらい遠くまで逃げて、
暗闇のもやが切れた地点から、そっと呟くことだ。
「あの世界も私の内側。ただいつもの私の世界とは違う。今ここが私の場所。」
そうやって、過ごしてきた。記憶を辿る限り、中学一年生の頃から。
40歳まであと1ヶ月。
結婚もしておらず、子供もおらず、大金を稼いでいるわけでもない。
気づいていたんだろう。こんな風に自分を紹介するくらいだから。
自分のことをちっとも受け入れていない、自分自身を。
それでも逃げ続けていた。楽しい方へ。生きやすい方へ。
だからこそ、の今。
だからこそ、向き合うことに決めたんだ、今。
そして気づいた。