【Vol.S05】フリー演劇台本【夏祭り-からかわれ男子(読手:男性向け)】


はじめに

本作は朗読・演劇用の台本として作成したものです。
思いつきの習作ですのでクオリティは保証しておりません。

ライバーさんの朗読枠などの使用をオススメしております。

※注意事項※
・著作権譲渡は行っておりません。
・無断転載や自作発言、再配布は禁止しております。
・改変依頼は受け付けておりません。ご自身で改変の上ご使用下さい。
・本作品使用時のトラブルつきましては一切の責任を負いません。
・全力全開趣味で書いておりますので合わない方は閉じて下さい。

本編

「なぁ…今週末暇かよ…」
俺は勇気をもって、キミに声をかけた。

「え…暇じゃない?…そっか…いや。ならいいんだ…」
結果は惨敗…わかってたことだけど…

『だって今週末お祭り行くんだもん』って!?
え?どこの!?…え?…いや!!俺が誘おうと思ってたトコ…

そっか…そうだよな…カレシ…いるよな……え?1人で行く!?
…友達とでもなく!?…1人で!?

『偶然出会ってくれる人いないかなぁ…』って!?

「もしかしたら、偶然会えるかもね?」
…心臓が破裂しそうになりながら。必死に取り繕いながら…声を絞り出して。伝える。

その時俺はその手を取りたくてしかたなかった…本当に…取れるんだろうか…
ボクなんかが…本当にその手をとっていいのだろうか…

日が近づくごとに心臓の鼓動がはやくなる…辛くて…辛くて…苦しくて……でも、楽しみで

ずっとずっと待っていた。週末。夕暮れ時を迎えた。

目いっぱいのオシャレ…ほんとにコレでいいのかな?
モテるコーデって…雑誌に書いてあったから…大丈夫。だよね?

……一心不乱にキミを探す。
…浴衣を着たキミを見つけた。…すごい。綺麗で。可愛い。つい口から漏れる…

キミも俺を見つけた。こっちをじっと見つめてくる。

勇気をもってキミに近づく。

「ねぇカノジョ!!暇してる!?」
…なんで思いついた言葉がナンパの言葉だったんだろうか。しかも古いし…なんで…
この時。すっごい後悔した。

キミは爆笑して、俺は苦笑い。

キミは俺の手を取り…引っ張って……って、え?
キミと繋いだ手。ぬくもりを感じる……身体が熱い。心臓の音がウルサイ。

キミはほらほらと俺を急かす。
焼きそば。リンゴ飴。水ヨーヨー釣り…いろんなところを二人で巡る。

いや!!あーん、とかしなくていいから!!
…なんでキミは恥ずかしくないんだよッ!?

ちょっと顔あかくなってるじゃん!!
恥ずかしいならやめろよぉ!!……あぁぁぁもう!食べればいいんだろぉ!!

美味しいけど味があんまりわからないよ!!
…だぁー!!催促しないでよ‼️…ほら!あーん!!

うまいかよ?『キミが食べさせてくれたから美味しい』って…ぁぁっぁぁぁっぁ!!
そうかよッ!!それなら良かったよッ!!

水ヨーヨー釣ろうとして袖が塗れてるじゃねぇか!!はしゃぐな!!
水をこっちにかけようとするなッ!!

子供っぽい笑顔に…いつもは見たこと無い…見ようとしなかった笑顔が…俺の隣で…
心臓が破裂しそう…

『なにみてるのさ?』って…
「キミが可愛いから見つめてただけだよッ!!」

なんだよ!!驚いた顔するなよ!!びっくりするなよ!!
あぁぁぁ!!可愛いんだよバカ!!

ずっとキミに手を引かれて。お祭りを…屋台を巡る。楽しくてしかたなかった…
自然にずっと笑っていた。

でも
途中で学校の友人に遭遇する。血が凍った。

一瞬。手を振りほどこうとした。

けどキミは。
ニヤリと笑うと、もっと強く握ってきた。
え?

友達が近づいてきて『デートかよ!?』って茶化される俺達。

『そうだよ?羨ましいか?非モテ共ww』って逆に返すキミ。
『羨ましいに決まってるだろ?…んじゃデート楽しめよ?』って言い残すと友達は去っていった。

『デートだってさ!!…じゃぁ次はどこいく?』
いたずらっ子のような笑い方で俺に微笑む…それは卑怯じゃん。
否定できなくなっちゃうじゃん…諦めきれなくなっちゃうから……もう諦めることなんてしないから。

ここまで本気にさせたんだ…もう…頑張るから…諦めないから。

スイカ割りも二人で楽しむ。
キミが目隠しして俺が回して。…誘導して。
スイカは割れなくて、二人で笑って。

他の人が割ったスイカをベンチに二人で腰掛けて食べる。
……スイカの種、顔にくっついてるって。

手をキミの頬に伸ばし、スイカの種をとる。

ふと唇を意識して……取った後に顔を背ける。

『あれぇ?意識しちゃった?』

小悪魔っぽく笑うなよ!!…ああぁぁぁあぁ!!もう!!

最後に二人で歩く。花火が綺麗に見える場所まで。

絶景。花火が綺麗に見える。
いや、花火だけじゃなくて…夜景も…ただの景色でさえ…

それはなんでか分かってる。キミが隣にいたから。

キミの横顔を見つめる。

花火が打ち上がった瞬間。花火の光でキミの影と俺の影が重なる。

『レモン味じゃなくてスイカの後味でごめんね?』
キミはそういって笑う。

…俺は何も言えなかった。…ただ呆然とした。
景色さえ霞んで…キミに見惚れていた………

だからボクも…いや、俺も
もう一度花火が打ち上がった時、影と影を重ね合わせる。

キミの呆然とした顔。…初めて見た。素敵だ。

『何言ってるの?…聞こえないんだけどー?』だって!?

「……好きだって言ってるんだァァァァ!!」

花火の音にかき消されないように。大声で叫ぶ。

恥じらいなんて知ったことかよ!!
俺は本気で叫んだ。

キミは返答せず。俺の肩に身体を預けた。
答えは要らない…と思う。……この日は絶対に忘れられない。

湿っぽい暑さ。夏祭りの喧騒…スイカの後味…唇に残った感触は絶対に忘れられない…

キミにも忘れさせないから…これからよろしくね?

-fin-


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